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2019 年度 実施状況報告書

ものづくり立国・日本の新成長に資する日本美「侘び」を表現する工業デザイン造形研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K00720
研究機関九州大学

研究代表者

杉本 美貴  九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (00635047)

研究分担者 森田 昌嗣  九州大学, 未来デザイン学センター, 特任教授 (20243975) [辞退]
曽我部 春香  九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (50437745)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワード侘び / 日本美 / プロダクトデザイン / インダストリアルデザイン / スタイリング
研究実績の概要

本研究は、現代の工業製品の外観デザインにおいて「侘び」の美意識を表現する造形手法を導出することが目的であり、本年度はこれまで実施してきた「千利休の作為を記した144件の逸話」と「彼が好んだとされる54点の茶道具の造形特徴」の調査結果とその考察を取りまとめ、作為を表現するための造形手法として導出した。
その結果、『実用の作為』の造形手法が「使用性への配慮」「適材適所」、『未完の作為』の造形手法が「簡潔な表現」「余地を残す」「ネガティブをポジティブに転換」、『調和の作為』の造形手法が「形や素材のリズム感」「物、人、時間、空間への配慮と取り合わせ」「端正で安定感のある表現」、『隠伏の作為』の造形手法が「技巧を隠す」「最小限の変化量」、『婉曲の作為』の造形手法が「間接的な表現」「見立て」であることを導出し、事例となる工業製品の試作により、導出した造形手法の有用性が示唆された。また、一般的に「侘び」とは、冷え枯れた、寂びた風情のものと認識されることが多い。しかしながら、本研究結果では、必ずしもそうした風情でなくとも「侘び」を表現できることが示された。現代の工業製品は多種多様であり、寂びた風情が製品の印象にそぐわないものも多いが、そのような製品であっても、「侘び」の美意識を表現できることを明らかにした本研究結果は非常に有意義であると考える。
本結果を研究論文として日本デザイン学会デザイン学研究に投稿し、採択された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初計画に従い造形要件の仮説を立てた後、有識者との意見を伺ったところ、更に検討が必要な部分が明らかとなったため、参考史料を追加し要件の見直しを行い、研究成果について論文投稿を行い採択されたものの、査読者からの指摘により研究の深掘りのために検討が必要な部分が明らかとなり現在追加調査を行っている。そのため、複数の事例となる工業デザインの模型製作を予定していたが、やや遅れてしまっている。また、模型制作後に論文投稿および国際学会への参加を目論んでいたが、同様の理由から実施できなかった。
今年度は前半に事例となる工業製品デザインの模型製作、後半に論文投稿、学会への参加を行う予定であり、当初計画よりやや遅れているが、やるべき手順や項目は明確であることから、研究の進行には問題がない。

今後の研究の推進方策

今後は複数の事例となる工業製品デザインを行った後、その事例について有識者との検討を踏まえ、外観デザインで「侘び」の美意識を表現するための造形要件として明確化する。
今年度は昨年できなかった国内外の学会での発表を行う予定であるが、新型コロナウイルス感染症の影響で学会の開催や参加が可能かどうか予断を許さないため、その場合は論文投稿により社会に公表する。

次年度使用額が生じた理由

研究を進める中で当初計画の調査方法から方針変更の必要性が出てきたため計画外の調査を実施したことに加え、現時
点での研究成果について論文投稿を行い採択されたものの、査読者からの指摘により研究の深掘りのために検討が必要
な部分が明らかとなり現在追加調査を行っている。そのため、論文作成、学会発表も計画より遅延しているが、やるべき手順や項目は明確であり、期間延長により研究完了可能である。本年度は、事例となる複数の工業製品のデザインを製作し、有識者との検討会を実施する。その結果を踏まえ、論文投稿および国内外の学会で発表予定である。
上記のことから、事例となる工業製品のデザイン模型の製作費、3Dデータ作成のためのノートPC購入費、有識者との検討会のための交通費、論文投稿のための英訳、学会参加費等に予算を使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] 「侘び」を表現するための造形手法に関する研究2019

    • 著者名/発表者名
      杉本美貴,城川 真実, 大久保 爽一郎
    • 雑誌名

      日本デザイン学会デザイン学研究

      巻: 66 ページ: 49-56

    • DOI

      https://doi.org/10.11247/jssdj.66.2_49

    • 査読あり

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公開日: 2021-01-27  

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