研究課題/領域番号 |
17K00724
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
渡邉 英徳 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 教授 (00514085)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 写真 / デジタルアーカイブ / 人工知能 / ワークショップ / コミュニティ |
研究実績の概要 |
研究の成果として,査読付き論文誌掲載1編,紀要1編,展覧会実施1件,招待講演11件,招待展示5件,学会発表3件,スマートフォンアプリリリース一件,ウェブサービスリリース一件,災害報道協力一件の成果を挙げた。 今年度は,申請当初の研究目的は維持したまま,災害アーカイブの白黒写真データに,人工知能技術を応用したカラー化処理を加えたところ,リアルタイムの災害情報とアーカイブされた過去の災害資料とを,視覚的に違和感なくインテグレートし,ユーザに向けてソーシャルメディア・あるいは実空間で発信することができた。 その結果,研究代表者のツイッターに投稿したカラー化写真のインプレッション数は1億回以上となり,リプライ・リツイートを介した,ユーザ間での活発なコミュニケーションが創発した。さらに,カラー化写真の展示会とワークショップを同時に開催することで,活発な対面のコミュニケーションが創発し,オフラインのユーザコミュニティが形成されることも確認された。加えて,人工知能技術でカラー化した写真を,資料や提供者の証言内容をもとに再レタッチすることで,鑑賞者の印象も良くなり,さらなる対話が創発することもわかってきた。 このように,元資料の白黒写真データにカラー化処理を加えることで,当初の研究計画よりも大幅な進捗がみられたことから,2019年度の研究費を前倒し請求し,2019年度に予定していたワークショップを繰り上げ,カラー化写真の展示会とワークショップを2018年度中に実施した。 また,広島における活動成果をスマートフォン用AR(拡張現実)アプリとしてリリースし,南アルプス市との共同研究成果をウェブサービスとしてリリースした。さらに,西日本水害の際に本研究の手法を用いて作成したデジタルアースコンテンツは,NHKでの災害報道に活用された。 その結果,冒頭に挙げた成果を得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
前述したように,前倒し請求分の費用を用いて,2019年度に予定していたワークショップを繰り上げ,カラー化写真の展示会とワークショップを2018年度中に実施し,成果を得られた。よって,当初の計画以上に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
前倒し請求分の研究費で実施した展示会・ワークショップの結果をもとに,展示・ワークショップの手法を改良する。改良した手法を,2019年度において実施する予定の展示会・ワークショップで実践し,結果をフィードバックし,手法を改善していく。現時点では,広島市立中央図書館,ニューヨーク国連国際学校などにおいて,展示会・ワークショップを実施する予定になっている。このプロセスを通して,申請時の研究計画で述べた「①操作方法のレクチャー,ユーザビリティの改良と.このことによって,ユーザの習熟度を向上させ,主体的な参画を促す」「②ユーザのオンライン・コミュニティを形成し,社会におけるコンテンツの利活用を促進する」の2つの目的達成を目指す。
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