令和4年度の研究成果:障害者就労継続支援B型事業所(以下、B型事業所)授産事業に対するコロナ禍の影響、行政のB型事業所の報酬に関わる方針変更の影響を含めてこれまでの研究成果をまとめ、学術図書として出版した。また、今後の研究に向けて地方自治体に対してフォローアップ調査を実施し現在の課題を探るとともに、これまでの研究成果(コラボレーションのプロセス)を応用し、授産商品開発の福学コラボレーション活動を実施し、商品化に向けて支援が実現した。研究期間全体を通じた成果は以下の4点にまとめられる。 1:B型事業所の授産商品開発に対する支援の実態と販売・販売支援活動について全国の自治体に対する質問紙による量的調査と事例の聞き取り調査を行い、福祉商品の販売の現場の課題を明らかにし、効果的な商品開発支援の条件について明らかにした。 2:新規事業所を含む28か所のB型事業所の商品開発と販売に関して、効果があった活動と課題点について分析した。また、新規事業所の成功事例についてバリューチェーンを用いた分析を行い、事業所の立ち上げから事業を軌道に乗せるまでの各プロセスに必要なメニューを選びトータルに支援するモデルを提示した。 3:授産商品開発・販売支援の大規模なプロジェクトとして東京都のKURUMIRU、民間企業のequaltoの活動について詳細な事例分析を実施した。その結果、授産商品開発における有効な手法として、「現場発想型」「アクティブラーニング型」「販売現場主導型」の3つのコラボレーションプロセスとモデルを提示した。 4:効果的なコラボレーションモデルの検証を行うため、福学連携プロジェクトを実施し複数の新商品の開発に成功した。大規模なプロジェクトで有効であったプロセスを小規模なプロジェクトに応用することで効果的な商品開発が可能になること、B型事業所と共に学ぶプロセスの有効性を検証することができた。
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