研究課題/領域番号 |
17K00734
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
三上 浩司 東京工科大学, メディア学部, 教授 (10386782)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | VR / 視野 / ゲームデザイン / キャラクターAI |
研究実績の概要 |
当該年度は,前年度の①「領域に適したゲームアクションの調査と分析」により得られた結果をもとに,同じく前年度に開発した②「領域に適したゲームアクションを制御できるゲームの基盤開発」を利用し拡張した実験用ゲームを用いて比較評価実験を実施した. 比較評価実験用のゲームは,汎用的なゲームエンジンUnityを利用して,FPSゲームを開発した.プレイヤーの視野内にいるキャラクタかどうかを判別し,範囲外にいる時に「攻撃頻度を減らす」,「命中率を減らす」,「攻撃しないが存在だけ示す(カバー行動)」の3つの行動の調整を実装した.これらの行動調整をひとつづつ実装したゲーム3種と全く行わないゲーム1種を作成し,順序効果を考慮し16名の被験者に実験を行った.その結果,すべての調整要素において,視野外からの攻撃によりプレイヤーの受けたダメージが軽減される結果が出た.そのなかでも特に初心者において軽減が顕著であった.また,調整に気が付いたかどうかを視野角40度,51度それぞれの角度を閾値として行動を調整する2種類のゲームを実装して実験した.その結果,「攻撃しないが存在だけ示す(カバー行動)」が最も気付かれやすい調整であることが分かった.また,閾値を視野角51度に設定したほうが気付かれにくいことも分かった. これらの内容については,NICOGRAPH International 2018,情報処理学会エンターテインメントコンピューティング2018,さらにDigraにおいて発表した.これに加え本研究を遂行するために行った様々な調査についても,日本デジタルゲーム学会年次大会において発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた評価実験が実施でき,提案手法の有効性が確認された.また,その成果を国際会議や国内の研究大会において採択,発表することができた. 一方で評価方法はゲーム内のログと主観評価で実施しており,これらの評価手法についてもさらに検討し,当初検討していた生体情報を利用した計測などについても検討が必要であると考えたため「おおむね順調に進展している」とした.
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度の成果とその発表における議論の中で,現在はユーザーの視線を計測せずに,画面中央を注視していると仮定して視野角を実装している点について,正確に視野角を反映できていない可能性の指摘があった.VR用のヘッドマウントディスプレイには視線計測も可能なものがあるため,それらの機能の実装を検討したい.また,調整する敵AIの行動についても,現在の3種類からさらに検討を進めたい.特に「攻撃しないが存在だけ示す」は行動の種類の検討が必要であると考える, 評価方法についても,現在のプレイログは客観的な評価指標の一つとして利用できるが,その他の主観評価の方法や生体情報を取得した評価方法などについても検討したい.
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次年度使用額が生じた理由 |
購入予定であったPCが品薄などの関係で求めるスペックのものを購入することができなかった.また,予定していたヘッドマウンテッドディスプレイなどの発売時期が遅れた.そのため,次年度使用額が生じた.これらについては令和元年度に購入する. 令和元年度は,これらに加え,実証実験のための消耗品,人件費に加え,情報処理学会デジタルコンテンツクリエーション研究会をはじめとした,成果発表のための出張旅費に利用する.
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