前年度に実施した「領域に適したゲームアクションを制御できるゲーム」を拡張した実験用ゲームの比較評価実験に基づきさらなる改良を行った. 前年度までにプレイヤーの視野内にいるキャラクタかどうかを判別し,範囲外にいる時に「攻撃頻度を減らす」,「命中率を減らす」,「攻撃しないが存在だけ示す(カバー行動)」の3つの行動の調整するシステムを実装した.順序効果を考慮した16名の被験者による実験において,視野外からの攻撃によりプレイヤーの受けたダメージが軽減される結果が出た.また,3つの調整のうち「攻撃しないが存在だけ示す(カバー行動)」が最もユーザーに気付かれやすい調整であることが分かった.そのため,カバー動作だけでなく「リロード」の動作による難易度調整を加えた.リロードは「銃弾の装填」に当たる行為で,相手の視野の範囲外など安全とされる状態で行う行動として理にかなっている行動である.ステージ全体の攻撃力を同一にした既存手法と提案手法を比較した実験結果として,提案手法はより難易度が高いと受け取られていることが主観評価により分かった.一方,定量評価である被ダメージ量は提案手法のほうが少なかった.このことから,実際にはそれほどユーザーに不利益な状況を与えなくとも,主観的には難易度が高いと感じさせる調整ができることが分かった. これらの内容については,情報処理学会デジタルコンテンツクリエーション研究会において発表した.今後は情報処理学会に向けてジャーナル投稿を進める.
|