研究課題/領域番号 |
17K00737
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研究機関 | 豊田工業大学 |
研究代表者 |
小林 正和 豊田工業大学, 工学部, 准教授 (40409652)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 感性工学 / 深層学習 / 畳み込みニューラルネットワーク / 敵対的生成ネットワーク / ロバスト設計 / タグチメソッド / 応答曲面法 / 多目的最適化 |
研究実績の概要 |
一般に意匠設計においては,対象となる顧客を想定し,その顧客が好むように製品意匠を決定する.しかし,量産を前提とする製品の場合,対象とすべき顧客は多く,ある程度顧客層を絞ったとしても顧客の感性は多様である.従来の意匠設計支援法は,このような顧客の感性のばらつきを考慮できないため,顧客から収集した多様な情報は平均化されてしまい,その結果,全ての顧客に対して少しずつずれた製品意匠が生成されてしまう.そこで本研究では,顧客の感性にばらつきがあっても製品から受けるイメージに違いが出ないようにすることで,顧客全員の満足度を総合的に向上させることを目的として,最適化の一手法である「ロバスト最適化」の考えを導入し,顧客の感性のばらつきに対して頑健な製品意匠を導出することのできる製品意匠設計法の構築を行う. 本年度は,タグチメソッドに基づく最適意匠設計法と深層学習を用いた意匠設計法の研究を行い,以下の成果を得た. 1.タグチメソッドに基づく最適意匠設計法の研究では,昨年度に引き続いて手法の検討と有効性の検証を行い,研究成果を学会で発表した. 2.深層学習を用いた意匠設計法の研究では,畳み込みニューラルネットワーク(CNN)と敵対的生成ネットワーク(GAN)の2つの方法を用いた研究を行った.前者の研究では,製品意匠と顧客選好の対応関係を学習したCNNを用いて,設計案に対する顧客選好を推論しながら最適な製品意匠を探索する方法の検討を行った.後者の研究では,GANを用いて顧客の選好度の高い製品意匠を生成する方法の検討を行った.現在は国際学会への発表,および学術論文への投稿の準備を行っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は当初,タグチメソッドに基づく最適意匠設計法と機械学習を用いた製品意匠設計法の2つの研究を計画していた. これに対して,タグチメソッドに基づく最適意匠設計法の研究については,当初の予定通り,手法の検討と有効性の検証を行い,研究成果を学会で発表することができた. 機械学習を用いた意匠設計法の研究については,機械学習の中でも特に近年注目されている深層学習の一種である,畳み込みニューラルネットワークと敵対的生成ネットワークを採用し,これらの方法を用いた研究を行った.得られた成果をもとに,現在は国際学会への発表,および学術論文への投稿の準備を行っている.
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今後の研究の推進方策 |
今年度と同様,タグチメソッドに基づく最適意匠設計法と深層学習を用いた意匠設計法の研究を実施する.また,大規模なケーススタディを実施し,各提案手法の有効性を検証する.
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次年度使用額が生じた理由 |
計算機の複数台購入,国内外の学会参加など,多くの支出があったが,予算の効率的な使用により予算消費が抑えられた.また,コロナウイルスの流行により,3月に参加を予定していた学会が中止となったため,旅費が予定より減少した.以上の理由により,次年度使用額が発生した. 次年度の使用計画としては,最適化計算および,深層学習計算のための計算機購入を計画している.また,成果発表のための学会参加費(オンライン開催のため,旅費は発生しない)の支出を計画している.
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