研究課題
1)縞模様のデジタル化とイメージの定量化:「日本の縞織物マップ」を製作し、代表的な縞紋様について調査を行った。大阪商業大学収蔵の河内木綿700点、丹波布伝承館収蔵の縞帳、上村六郎著の丹波布縞帳、会津木綿、唐桟織の縞についてデジタル化し、10代の若者を対象としたアンケート調査により経縞と格子縞のイメージを定量化した。(2017~2018年度)2)浮世絵を通した縞の感性:歌川国芳の1843~1847年の作品『縞揃女弁慶』、『大願成就有ヶ瀧縞』、『時世粧菊揃』の三シリーズに描かれた着物の縞模様を分析し、日本の庶民の生活の中で育まれた「シャレ」の感性について考察した。(2019年度)3)素材活用を重視した日本縞の色彩美:中国の南京布は、江戸時代の縞模様の流行に大きな影響を及ぼした。本研究は、中国の江蘇省・浙江省・湖南省の手織木綿についての調査により、中国の縞は花織紋様を組み合わせたものが重宝されることが分かった。一方、日本の木綿やシルク、自然布などの縞織物はほぼ平織となっており、色や光沢、素材感など多面的な要素による表現が主流であることが明らかになった。(2018年度)4)縞織りを通した総合教育の可能性:江戸時代の庶民の縞の色は地域資源活用の中で形成された。本研究は、高大連携プロジェクトや大学の横断プロジェクトとリンクし、「藍と綿の栽培から織物製作まで」を15回の教育プログラムの中で模索し、『地域資源学』のテキストを完成した。(2018~2019年度)5)研究セミナー:2018年9月、丹波布技術者を対象に「中国の織物」の講演会および「日中の縞織物の製織技術の比較」の研究セミナーを行った。また、2020年1月には2回目の研究セミナー「日本の縞の感性」を開催し、丹波布技術者や日本民芸館の学芸員らが持ち寄った6冊の『丹波布縞帳』を見比べ、縞の色彩美の現代的継承について議論を広げた。
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