研究課題/領域番号 |
17K00747
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
木村 美智子 茨城大学, 教育学部, 教授 (70214898)
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研究分担者 |
佐藤 裕紀子 茨城大学, 教育学部, 准教授 (00272740)
鄭 暁静 信州大学, 学術研究院教育学系, 助教 (30774632)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 消費者市民社会 / 環境教育 / ESD / ゲーミング・シミュレーション / 家庭科教育 / 消費者教育 |
研究実績の概要 |
環境に配慮したライフスタイルの創造は消費者市民社会を実現するための基盤である。こうした考えのもとに、市民の環境意識の形成に影響を及ぼす「生活知識・生活スキル」の獲得の実態を明らかにし、環境意識を培う教育手法を提案することが本研究の目的である。29年度は、生活知識・生活スキル獲得に関する調査の枠組みを設定し、予備調査を行うとともに、教育手法としてのゲーミング・シミュレーションの可能性を探った。その結果は以下のとおりである。 (1)調査の枠組み設定:生活知識・生活スキルを身に付けるための教育の機会は、小中高等学校では、家庭科での授業がまず考えられる。研究分担者である佐藤は、家庭科はESD(持続可能な開発のための教育)の観点からも、本研究における環境意識の形成に寄与する可能性があることを明らかにした。 (2)予備調査の実施:研究代表者である木村は、佐藤の結果を踏まえて家庭科の衣生活分野に着目し、大学生の生活知識・生活スキルを調査するとともに、環境意識と行動との関連性を分析した。具体的には、洗濯に関する知識や環境に配慮した洗剤・水使用に関する知識と、実際の洗濯行動とを調査・分析した。また、研究分担者である鄭は、家庭科における消費生活・環境領域の教材研究において、大学生によるICTを活用した教材開発及び授業実践を通した生徒の学習効果を明らかにするとともに、この分野における日本と韓国の生徒の意識の違いを検討した。 (3)教育手法の開発:以上のような意識調査を行う一方、環境意識を培う教育手法としてゲーミング・シミュレーションに着目しており、その可能性を探るため、木村はディスカッションや映像をとおした授業実践を試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大学生の生活知識・生活スキル獲得に関する実態調査のための予備調査を実施し、調査の枠組みを検討することができた。この結果を整理することにより、30年度以降に予定している日本と韓国での調査を進めていく。ゲーミング・シミュレーションについては、授業への導入を試みており、教育効果の評価・分析を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
(1)日韓の大学生の生活知識・生活スキル獲得に関する調査枠組みの確認と最終調査票を作成する。予備調査の結果を踏まえ、環境意識の形成過程に及ぼす生活知識・生活スキルの影響分析や、ゲーミングシミュレーションの設計を踏まえて、最終調査票を作成・実施する。 (2)大学生への実態調査の分析結果を踏まえ、生活知識・積極的環境意識を高めるゲーミング・シミュレーションを実施し、消費者教育や家庭科教育におけるゲーミングの教育効果を検証する。 (3)実態調査の結果およびゲーミング・シミュレーションの教育効果を踏まえて消費者市民の環境意識を培う教育手法を提案する。
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次年度使用額が生じた理由 |
29年度中は各自が本研究テーマに基づき研究を進めてきたが、調査範囲が国内のみに留まったこともあり、当初予定していた助成金の使用が抑えられたと考えられる。30年度は韓国での調査活動を進める計画であり、旅費ならびに調査実施費用、調査結果の整理等への謝金を予定しているため、この活動に助成金を使用する。
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備考 |
木村美智子、家庭科教育の現状と課題、茨城県教育研修センター主催研修講座、2017年
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