研究課題/領域番号 |
17K00749
|
研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
川端 博子 埼玉大学, 教育学部, 教授 (70167013)
|
研究分担者 |
田中 早苗 東京家政大学, 家政学部, 准教授 (40349519)
鳴海 多恵子 東京学芸大学, 教育学部, 名誉教授 (90014836)
萩生田 伸子 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (70292638)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 手指の巧緻性 / 糸結びテスト / ひも結びテスト / 小学生 / 幼児 / 動画教材 / 家庭科 |
研究実績の概要 |
29年度は、以下3点に取り組んだ。 ①現代の小学生の手指の巧緻性の現状を糸結びテストにより把握するとともに生活実態に関する質問紙調査より手指の巧緻性に関わる要因について考察することを目的とした。2017年7~9月、東京都内の6校の小学6年生477名を対象に、糸結びテストと質問紙調査を実施した。質問紙調査では、ものづくりに対する意識と生活の自立度、家庭科の学習の家庭での実践度、遊びの参加度、手指を使う作業の学習意欲、家庭での生活時間など62項目の質問を設定した。5分間に完成した糸結び数には、男女差が認められ、2007年に比較して2017年にはいっそうの成績の低下がみられた。質問紙の回答をもとに、糸結び数を予測する重回帰分析を行ったところ、性別、ものづくりに対する意識、家庭科の学習の実践度などが正に関与していることから、家庭科の役割を手指の巧緻性向上の面から示唆する結果となった。 ②幼児の手指の巧緻性も低下していることから、幼児にも可能な手指の巧緻性の計測方法の検討に着手した。東京都内の幼稚園に通う5歳児56名を対象にひも結びテストを実施して手指の巧緻性をとらえ、衣生活に関わる生活動作のうちボタンかけとの関連について考察した。 ③家庭科教員を対象に、布を使ったものづくりの動画教材制作講習会を開催し、受講者からその後の動画教材の利用状況を質問紙で調査した。教員を対象に動画教材による授業支援の効果を題材とする講演会を2回開催した。その他、被服製作学習を支援するため、織機による手作り織布で小物を縫製する美大生のために縫い方解説動画を制作した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究全体のまとまりには欠けるものの、研究代表者を中心に分担者が協力して、それぞれの研究課題に取り組み、データを得ることができた。 本研究の主題である布を用いた製作学習の学習効果を高めるために動画教材を製作すること、それらをどう活用するかが課題であるが、この点については新学習指導要領の改訂によりどのような製作題材を取り上げられるか状況を伺っている所であるためペースを緩め、手指の巧緻性向上の視点からの質問紙調査および幼児の手指の巧緻性の計測法に関する研究を先行させた。代表者・分担者が動画活用の効果について講演や講習会を開催して利用の普及に努めた。
|
今後の研究の推進方策 |
平成29年度実施の手指の巧緻性とそれに関わる要因について質問紙調査の分析を進め、論文として公開していく。併せて手指の巧緻性を計る糸結びテストを、5年生と中学生以上に対象を広げて実施し、過去の結果と比較しながら推移を調べ、現状を明らかにしていく。 ICT用の活用によって、基礎技能の理解・定着化とともに思考力・創造性を引き出す教材の作成を検討し、成果をWebにて公開できるよう準備をする。 教員を対象とする講習会を開催し、ICT活用による教材作成の指導を継続させ、学校現場での普及を図る。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新学習指導要領に準拠する方向での布を用いた製作学習の計画と動画作成を見合わせたため、撮影機材、HP掲載費の支出が減額となった。教科書の公開は30年度もなされないが、新学習指導要領の方向を視野におきながら、教材作成に着手する計画である。
|