研究課題/領域番号 |
17K00749
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
川端 博子 埼玉大学, 教育学部, 教授 (70167013)
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研究分担者 |
田中 早苗 東京家政大学, 家政学部, 准教授 (40349519)
鳴海 多恵子 東京学芸大学, 教育学部, 名誉教授 (90014836)
萩生田 伸子 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (70292638)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | なみ縫い / 手指の巧緻性 / オンライン製作実習 / 動画教材 |
研究実績の概要 |
①平成29年度に実施した5年生児童98名(男女各49名)のなみ縫い布の観察と糸結びテストの関連に関する分析を行った。縫い目の座標を捉え、縫い目の数や揃い、蛇行から技能を客観的に計測した。また、大学4年生20名が、目視により各自の方法による総合評価と指定の4観点による2方法で5段階による目視評価を行った。これらの結果を照らし合わせて現代の5年生の技能レベルとその評価と指導について考察した。さらに、糸結びテストとなみ縫い技能の関連より、手指の巧緻性の向上の点から、手縫い学習の効果について考察した。 ②大学で実施したオンライン被服製作「刺し子」の学習過程を、受講生を対象とする3回の質問紙調査と学習終了後のインタビューから考察した。オンライン実習と振り返りによる対面実習それぞれのメリット・デミリットをまとめ、オンライン製作学習の指導のあり方について考察した。 ③オンライン授業を支援する家庭科の布を用いた製作のデジタル教材として、マスク、補修、幼保連携ものづくりを公開した。これまで作成してきた一連の教材は、オンライン授業で相当回数活用された。 ④服飾系大学においては新たに立体裁断、アパレル生産実習、アパレルCADの分野で動画教材を制作した。ドレス製作の練習を目的とする立体裁断の6工程、台衿付きシャツのパターン設計から縫製仕上げまでの12工程、アパレルCADソフトウエアの操作と周辺機器の扱いに関する2工程で、いずれも学習支援システムで配信した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
針と糸を使いた製作学習によって、大学生と中学生の実習前後の結果および小学生のなみ縫い技能との関連より手指の巧緻性を高められることが明らかとなった。また、手縫いの手指の巧緻性以外の学習効果に関する研究にも着手した。 大学ではオンライン製作実習によって、直接指導や学生同士のコミュニケーションが取りにくい状況になった。オンラインと対面の実習を対比させながら製作学習の特徴を再考する研究にも取り組んだ。服飾系大学においては、これまでに蓄積した動画教材の制作研究に関する知識や技術は、オンライン授業の要請による新たな分野・内容への動画制作に活かすことができた。以上が評価の理由である。
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今後の研究の推進方策 |
①最終年度は、これまで収集した未公開のデータをさらに詳細に分析して成果をまとめて公表する。具体的には、針と糸を使う学習と手指の巧緻性との関連、人間形成への影響について考察し、布を用いた製作学習の新たな学習効果について提言する。 ②数年に渡って閲覧させてきた特定服種の製作工程を収録した動画教材について、学生の閲覧状況と製作物への影響や効果の経年変化を分析し動画制作の資料とする。 ③5年間の総まとめとして報告書の作成を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナの感染拡大によって、調査研究の再考を求められたことが主な理由である。2021年度はオンライン授業に対応するデジタル教材の作成とこれまでの研究成果の公表と総括を行う。
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