研究課題/領域番号 |
17K00752
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
吉田 哲 京都大学, 工学研究科, 准教授 (10293888)
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研究分担者 |
岩田 伸一郎 日本大学, 生産工学部, 教授 (30314230)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 高齢者 / 越境まちづくり / まちづくり / ボランティア / 活性化 / 越境 |
研究実績の概要 |
17年度は2つの調査を実施した。1つ目は自居住地の小学校区外での越境まちづくり活動を先駆的に進める高齢者の14年度からの詳細な活動記録の取得(16年まで3年分合計685件取得済)、2つ目は越境まちづくり活動を行う高齢者にアンケートを実施し、越境まちづくり活動の内容、頻度、活動場所までの移動手段・時間、参加開始時期や発意、自居住地での自治会等役員歴、退職後年数等を調べた。前者は研究実施計画書通りであるが、活動データの総量が想定以上に多かったため、活動日誌から高齢者自身でのデータ化に時間を要した。2017年度同時進行であった200件を18年6月迄には得、詳細な統計分析を実施予定である。これと同形式で17年度の2か月間2回での記録を他の高齢者にも打診したが、この作業は複雑で煩瑣だったため了解を得られなかった。このため実施計画書から方向を変え、京都市内各区まちづくり区民会議・WSや、市運営のセンター、府のシニア大学講座等で、該当する高齢者の参加の多い会議や講座、団体の参加者募集の会等に、10-2月に合計16回参加して、上記内容のアンケートの該当者への直接配布と、各活動グループ内該当者で当日不参加の方への配布依頼を行い、また6団体へ郵送して計760票を配り、3月末の返送期限で127票16.7%を得た。学区外で初めて行う(=1つ目の)活動の種類は高齢者居場所系や子育て系や福祉系等、自由記入の活動を12に分けることができた。中でもNPO団体での福祉系の活動が4割強あった。1つ目の活動開始年齢区分は福祉系のみ40歳代以下でも多く、50歳代、60-64歳が続いた。退職後年数区分では退職~1年までが17%と最多で、他に退職10年~退職時まで、退職後11年以降の区分が同数で12%と続いた。18年度もこの分析を続ける。高齢者の地域継続居住の支援者の減少が予測される中、自居住地を越境してまちづくりを支援する高齢者の活動の特徴を明らかにし、その拡大を展望する意義は大きい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
越境まちづくり活動を先駆的に進める高齢者の詳細な活動記録を取得(14-16年度合計685件取得済。17年度中もデータ化進行中)したがこれが想定外に多く、日誌のエクセルデータ化が煩瑣だったため、また、17年度データは回答者自身が各種の活動を並行して進めながらであったため予想外に時間がかかっている。他の高齢者からは同じデータ形式での2か月間でのデータ取得の同意が得られなかったため、8月に方針を転換し、越境まちづくりをする高齢者の集まる機会を探し、そのワークショップや活動参加者募集の会、講演会等に6か月で16回参加し、分析に足るだけの返送が得られるよう調査票の配票を続けた。この返送を年度末まで待ったため、分析開始が遅れている。このため全体の進捗状況はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
17年度に得たアンケートデータの分析、先駆的な個人のまちづくり活動データの分析を年度前半で終了させる。これと並行して当初予定の以下の自治体調査を実施する。 全国の基礎自治体である800強となる「市」(政令指定都市は特別区。高齢者の越境まちづくりは比較的人口の多い「まち」での活動が多いと考えたため。交通不便な町村部への越境まちづくりは特別な機会以外では難しいと考える)の担当課へアンケート調査を実施する。このための担当所管を調べるところから始め、これには学生謝金を充てる。 調査項目として想定しているのは以下である。1)自居住地の居住者ではない高齢者が参加するまちづくり活動、NPO等の団体の有無、種類、利用建物の種類(公共・民間施設の別)。2)活動がない場合、これから支援を拡大する場合どのような種類の活動であれば支援可能か?。3)使用可能とする公共施設の範囲、継続的な拠点利用or毎週等での活動利用、利用料金、時間の範囲、鍵の管理。4)行政が支援可能な活動の範囲、資金援助、人材カップリング、行政役人による指導。5)各活動間の情報交換会やワークショップの開催の有無(外部ファシリテータの利用、いつから、頻度)
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次年度使用額が生じた理由 |
越境まちづくり活動を先駆的に進める高齢者の詳細な活動記録を取得したがこれが想定外に多く、日誌のエクセルデータ化が煩瑣だったため、また、17年度データは回答者自身が各種の活動を並行して進めながらであったため予想外に時間がかかっている。他の高齢者からは同じデータ形式での2か月間でのデータ取得の同意が得られなかったため、8月に方針を転換し、該当者の参加が想定される区や市、府の開催するワークショップなどに参加してアンケート調査依頼と調査票の配布を行った。この調査票の配布を2月まで合計16回続け、回収を年度末まで待ったため分析が遅れている。2018年度はこの分析の続行と、計画書通りの全国の基礎自治体である800強となる「市」のまちづくり担当課へのアンケート調査を実施する。
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