本研究は,地域で暮らす高齢者のQOLを支える在宅ケアモデルの構築を目指し,認知症高齢者が人生経験を通してどのような老いの生き方・暮らし方を望んでいるのか,さらに家族やケア提供者が,認知症高齢者の望む老いの生き方・暮らし方をどのようにとらえ,どのような支援をしているのかを明らかにしたうえで,認知症高齢者が人生の最後まで望む老いの生き方・暮らし方を可能にする在宅ケアモデルを構築し,ケア提供者による支援のあり方を検討することを目的としている。 前年度までに,在宅で生活している認知症高齢者とその家族,担当のケア提供者に,認知症高齢者の望む生き方・暮らし方について面接調査を実施し,その分析結果に基づいて作成した質問紙調査票のデータを分析した。 本年度は,在宅ケアモデルの構築に向けて,在宅で生活している認知症高齢者の望む生き方・暮らし方の認識と支援の実態をとらえる分析モデルを設定し,分析を繰り返しながら検証を行った。また,国際学会の学術集会で研究成果を報告した。 本研究により,在宅で生活している認知症高齢者の望む生き方・暮らし方を支えるために日常的なケア実践に活用可能な在宅ケアモデル指標として有用性が期待できる成果を得ることができた。また,今後も分析・検証を繰り返す必要はあるが,認知機能が低下し,自分の思いを言葉で語ることが難しくなる認知症高齢者の望みを引き出し,支え,意思決定を支援しながらQOLを保障するケアのあり方を検討するうえで非常に重要な示唆を得ることができた。
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