研究課題/領域番号 |
17K00758
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
八幡 彩子 (谷口彩子) 熊本大学, 大学院教育学研究科, 教授 (90259763)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 家庭科教育史 / 家政学史 / 鹿内瑞子旧蔵資料 / 昭和40年代 / 教育課程行政 / 小学校家庭科 |
研究実績の概要 |
すでに,全国小学校家庭科教育研究会の発足過程について検討したが,地方の研究組織の発足・展開過程の検討についてはまだ十分な検討を行っていなかった。そこで,令和元年度は,「鹿内瑞子旧蔵資料」に散見される地方の家庭科研究会だよりを資料として,地方における小学校家庭科の展開過程を検討することを目的として研究を行った。 研究の方法として,国立教育政策研究所教育図書館所蔵「鹿内瑞子旧蔵資料」のうち,各都道府県等の小学校家庭科研究会が発行した家庭科研究会だより(横浜,山形,群馬,東京,近畿等)を抽出し,地方における小学校家庭科研究会の動向を検討した。 おもな結果は以下の通り。(1)検討資料中最も発行の早い「東京都家庭科ニュース」(昭和33年9月10日発行)によれば,昭和33年8月の学習指導要領改訂が,小学校家庭科の学習指導に携わる現場の教員にどのように受け止められたのかが把握できる(資料番号365)。(2)「山形県小学校家庭科教育研究会だより」No.1(1964年2月発行)によれば,同研究会の発足は昭和38年9月18日,全国小学校家庭科教育研究会の発足と連動して組織化が進められた(資料番号355)。さらに,山形県小学校教育研究会家庭科部会の発行による『研究のあゆみ(家庭科第4集)』(1968.3)によれば,全国大会での研究発表が実践を高める動機づけとなっている一方,家庭科専用教室の不足,学習教材や備品の不足,準備のための時間不足に加えて,家庭科の授業担当者が低学年担当教員の「入り込み授業」で行われるため,研究授業の実施が困難である等の実態があったことが窺われる(資料番号370)。(3)全国大会の地方開催を期に,隣接する複数の県が持ち回りで研究発表会を開催するブロック研究会が立ち上げられていったことが把握できる(資料番号356)。(資料番号は『鹿内瑞子旧蔵資料目録』による)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成30年度より3年の任期で附属特別支援学校校長を併任することになったため、研究時間が確保できず、研究に遅れが生じた。そのため、研究期間の延長申請を行った。この研究期間の延長により、当初の研究目標はほぼ完了する予定である。また、令和2年3月以降、東京、教育図書館での資料収集を予定していたが、新型コロナウィルス感染拡大防止の緊急事態宣言に伴い、研究に支障が出ている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は附属特別支援学校校長の任期最終年度(3年目)であるため、職務内容にはある程度慣れて、見通しが立ってきている。職務と研究とを両立・効率化して、研究成果の発信に努めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定した論文作成と研究発表ができなかったため、次年度使用が生じた。2020年度は、いくつかの学会が、新型コロナウィルス感染拡大防止のため中止になり、研究発表の実施は困難な見通しであるが、それに変わる研究成果発表の手段を考えたい。
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