本研究では、「鹿内瑞子旧蔵資料」をもとに、戦後における小学校家庭科の展開過程に関する研究の一環として、「全国小学校家庭科教育研究会」の活動を中心に検討することを目的とした。「全国小学校家庭科教育研究会」については、これまでの研究でも触れたことがあったが、地方の小学校家庭科に関する研究組織の発足・展開過程と関連づけた検討は十分ではなかった。そこで、最終年度の研究では、「鹿内瑞子旧蔵資料」に散見される地方の「家庭科研究会だより」等を資料として、地方における小学校家庭科の展開過程を検討することを目的として研究に取り組んだ。 研究の方法としては、国立教育政策研究所教育図書館所蔵「鹿内瑞子旧蔵資料」のうち、各都道府県等の小学校家庭科研究会が発行した「家庭科研究会だより」等を抽出し、「全国小学校家庭科教育研究会」との関わりの視点から、地方における小学校家庭科研究会の動向として把握・検討した。 おもな結果は以下の通り。(1)「山形県小学校家庭科教育研究会だより」No.1(1964年2月発行)によれば、同研究会の誕生は昭和38年9月18日で、同研究会の設立は、全国小学校家庭科教育研究会の発足と連動しており、全国大会の地方開催を契機に、組織化が進められたことが窺われる(資料番号355)。(2)このように、地方における小学校家庭科研究会の設立には、全国的な小学校家庭科研究会の組織化とその研究発表大会の地方開催が有機的に連動し、地方における小学校家庭科の研究組織の設立ならびに地方における研究の活発化につながっていったことが確認できる。(資料番号は『鹿内瑞子旧蔵資料目録』の整理番号による)
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