研究課題/領域番号 |
17K00760
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研究機関 | 三重県立看護大学 |
研究代表者 |
大平 肇子 三重県立看護大学, 看護学部, 教授 (20259386)
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研究分担者 |
齋藤 真 三重県立看護大学, 看護学部, 教授 (70178482)
市川 陽子 三重県立看護大学, 看護学部, 助教 (30805453)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | テレワーク / 月経周期 / 夜間労働 |
研究実績の概要 |
本研究は女性テレワーカーの健康的な生活マネジメントのための基礎実験として、夜間労働における月経周期により生じる影響を明らかにすることが目的である。平成30年度は、①女性テレワーカーの生活に関するインタビュー調査の実施、②昨年度実施の予備実験の結果分析、③昨年度実施の「子育て中の女性の在宅勤務を想定した仕事と生活アンケート調査」の結果分析、④上記②と③に基づき修正した「月経周期による夜間労働に生じる生体の負担」の本実験を開始した。 ①現在、インタビュー内容を分析中で、テレワーカーの生活実態を明らかにする。 ②予備実験:対象者は20歳代の女性13人で、月経周期の卵胞期と黄体期に各1回実験を行った。課題は加算作業と記憶作業の複合で、21時から1時間の作業を課した。測定項目は、心拍変動(HF、LF/HF)、唾液アミラーゼであった。全項目において月経周期による有意差は認められなかったが、作業前・後の分析において、作業後に、HFが有意に高値となり、唾液アミラーゼ値が有意に低値となった。つまり、作業後にストレスは減少し、リラックスしたことが推察され、実験課題による負荷が不十分であった可能性が示唆された。 ③アンケート調査:アンケートは232部配布し、73部を回収した。在宅勤務に対する認識、在宅勤務を想定した1日の活動について分析した。対象者の約80%は在宅勤務を知らないと回答し、認知度が低かった。在宅勤務を利用するか否かは〔家事・育児と仕事の両立〕〔マネジメント〕〔効果〕に影響されることが明らかとなった。夜間勤務を想定する者は約45%で、平均20時44分から仕事を開始することを想定していた。夜間勤務ありの者は、なしの者に比べ、有意に就寝時刻が遅くなり、睡眠時間が短くなることが認められた。 ④実験の開始:課題を変更し、実験日の睡眠時間および睡眠の質を測定する項目を追加し、実験を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予備実験の結果およびアンケート調査の結果を検討し、本実験に着手していることから、おおむね順調に進展していると判断した。インタビュー調査においても調査は終了し、現在、分析中であり、女性テレワーカーの生活実態と健康課題が抽出できると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
インタビュー調査の内容は、質的記述的に分析し、テレワーカー女性の生活と健康上の課題を明らかにする。実験は、実験計画に従いデータを収集し、分析を進める。アンケート調査、インタビュー調査、実験の成果から、女性テレワーカーの健康上の課題と対策を考察する。それらの成果は論文にまとめ、学会発表及び論文投稿へ向けて準備を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験計画は、平成30年度に所属機関の研究倫理審査を受審し承認を得た。その後、継続的に対象者を募集している。現在、研究参加の同意が得られた対象者には基礎体温の測定を依頼している。月経周期が確認できた後、夜間の実験を行う計画である。そのため夜間の実験は令和元年度に実施することとなり、実験に伴う謝礼等の支払いは実験終了時に予定している。以上の様な理由から、謝礼等の支払いが今年度中に執行できず、翌年度での執行予定となった。 令和元年度の予算使用は、対象者への謝礼、対象者の追加の際に必要となる基礎体温計、活動量計、検査用紙等の購入である。また、現在までの成果を論文にまとめ投稿予定であり、学会への投稿料を予定している。
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