本研究は,ワーク・ライフ・バランス(以下,WLB)の重要性が高まり,ますますその必要性が増すと予想される子育て支援対策の中でも祖父母の育児支援に焦点化し,祖父母を対象とした育児支援の現状と課題を顕在化し,祖父母力醸成プログラムを開発・実施するものである。従来の子育て支援策は,母親支援及び父親の育児参加の推進など子育て家庭への支援が主流である。実際には父親の就労状況は厳しく,家庭内の努力だけでは母親の孤立化や育児負担の問題は解消されていない状況が明らかとなった。子育て家庭を支える共助的支援の担い手として子育て家庭と祖父母の関係を繋ぎ,祖父母が育児場面で活躍できる「祖父母力醸成プログラム」を開発することは,子育ての社会化が求められている今日においては,喫緊の課題と考え,研究に着手した。 研究最終年度では,これまでの研究で積み上げてきた現代の子育て家庭に内在する課題を受けて,子育ての共助者としての祖父母力に着目し,「祖父母力醸成プログラム」の内容を専門スタッフの知見を踏まえて検証し,子育て中の保護者や祖父母を対象とした研修資料を作成することができた。具体的には,子育て中の父親・母親と祖父母との世代間格差として顕在化された問題点から,世代間格差是正に向けた研修プログラムを開発することができた。開発された研修プログラムにおいて特筆すべき内容として,祖父母世代間の交流や情報交換をプログラムに取り入れ,祖父母同士が繋がる機会をつくった点があげられる。開発されたプログラムを活用し,祖父母を対象とした研修会を通して,祖父母同士が交流することで子育て共助者としての役割を再認識する機会となることが確認された。
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