研究実績の概要 |
本研究は、保育者志望の学生が,在籍中に最低限身に着けておくべき専門性を明らかにするために,学生が自己の学習課題に取り組むための評価基準の開発を目指している。当該年度は、保育者の専門性や教員養成スタンダードに関する先行研究の項目の整理を行った。 その結果、先行研究は、実習に特化しているものが多かった。本研究では、「真正の評価」論の観点から考えることが重要であると考え,学生が日々の大学生活で経験するあろう具体的な行動(行為)レベルで資質能力を明示化することを試みた。 保育者の専門性に関する先行研究(柏女, 2009 ; 香曽我部, 2011 ;別惣・名須川・横川・鈴木・長澤・田中・飯塚, 2012)や保育所保育指針・幼稚園教育要領を整理すると,保育者養成段階修了時に最低限必要なコンピテンシーは,保育士の専門性の主枠組み6領域(発達援助/環境構成/生活援助/遊びの展開/関係構築/保護者への相談支援の領域の知識や技術)が提唱されている。しかし、「保護者への相談支援」領域の知識や技術は、「発達理解」「環境構成」「生活援助」「遊びの展開」「関係構築」領域を統合したもの(柏女,2009,2010)であることを考えると、養成段階では、身に着けておくべき資質能力としては高次なものと言える。また、「生活援助」領域の知識や技術は、単独でその内実を考えるのではなく、「発達理解」や「環境構成」領域の知識や技術と融合させて考えていくのが現実的だと思われる。以上、先行研究を整理した結果、保育者養成段階における専門性は、4つの領域「発達援助・生活援助」「環境構成・生活援助」「遊びの展開」「関係構築」から検討することが妥当であると判断した。園長、主任、実習担当者に養成段階で獲得すべきコンピテンシ-に関するインタビューを上記4領域ごとに実施した結果を現在まとめている。
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