研究課題/領域番号 |
17K00766
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研究機関 | 福山市立大学 |
研究代表者 |
倉盛 美穂子 福山市立大学, 教育学部, 教授 (90435355)
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研究分担者 |
上山 瑠津子 福山市立大学, 教育学部, 講師 (10804445)
光本 弥生 広島修道大学, 人文学部, 教授 (80280155)
大村 眞依子 (渡邉眞依子) 愛知県立大学, 教育福祉学部, 准教授 (60535285)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 保育者志望学生 / 援助 / 保育者養成 |
研究実績の概要 |
本年度は、保育者志望学生に求められる専門的力量の構造化の再分析を行った。その結果、妥当性を確認できた。加えて、学生は「援助」概念の理解が難しいことを明らかにした。幼児教育と小学校教育では「援助」の意味理解が異なることを示す先行研究があったことから、本年度は、年長児担任の保育者と1年生担任の小学校教諭の「援助」概念の理解の差異を調べた。保育者及び小学校教諭を対象にした「援助」「指導観」「支援観」に関する先行研究から、「子どもへの関わり方」に関する23項目を選出し、5件法で回答する質問紙を作成した。公立保育所・幼稚園年長児担任の保育者59名と小学校1年生担任の118名に、質問紙を配布し回答を依頼した。結果、年長児担当保育者の指導観の構造は、1)「環境構成を通じた間接的な関わり」、2)「意図伝達による直接的な関わり」、3)「子ども自身が考えることを重視する関わり」の3因子構造であった。因子間相関をみたところ、「環境構成を通じた間接的な関わり」と「子ども自身が考えることを重視する関わり」にのみ正の相関がみられた。小学校1年生担任の指導観の構造は、1)「他者や課題との相互作用を通じて子ども自身が考えることを重視する関わり」、2)「意図伝達による直接的な関わり、3)「環境構成を通じた間接的な関わり」の3因子構造であった。因子間相関は全下位尺度間に正の相関があった。因子間相関から、保育者の指導観「直接的な関わり」は他観点と独立しており、小学校教師の指導観は相互に関連していた事から、保育者は「直接的な関わり」と「間接的な関わり」を区別していることがわかった。この結果から、「直接的な関わり」と「間接的な関わり」を区別できることが保育者の専門性と言えるだろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ケースメソッド法の開発にあたり、「援助」概念の意味理解が多様であることから、「援助」概念を整理するための調査を行ったため。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究結果をもとに、養成段階の学生にとって習得が難しいコンピテンシーを軸としたケースを作成する。その後、実際に、保育者志望学生にケースメソッドを行ってもらし、学生の回答をもとに改善を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
ケースメソッド法の開発にあたり、「援助」概念の意味の理解が多様であることから、新たに「援助」概念を整理するための調査を行った。次年度は、今までの調査結果をもとにケースメソッドを開発する段階であるため、学会発表やそのための資料準備費が必要である。
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