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2017 年度 実施状況報告書

農村家族における「帰家」と「親-成人子関係」-直系制家族40年の軌跡とゆくえ-

研究課題

研究課題/領域番号 17K00770
研究機関和洋女子大学

研究代表者

佐藤 宏子  和洋女子大学, 生活科学系, 教授 (60165818)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2022-03-31
キーワード追跡研究 / 農村家族 / 世代更新 / 結婚コーホート / 結婚難 / 離家 / 帰家
研究実績の概要

時間の経過を追って初めて明らかになる農村地域の家族変動を研究テーマとして、1982年から今日まで、日本有数の茶生産地である静岡県藤枝市岡部町(旧:静岡県志太郡岡部町)朝比奈地域において延べ1,680人の農村有配偶女性の実証研究を実施してきた。
平成29年度は、これまで蓄積してきた膨大な調査データの中から、1982年、1993年、2005年、2014年において同一対象者の世帯形態を追跡したデータを抽出し、長期的な世帯変動を俯瞰できる239世帯分の4時点パネルデータを完成させた。4時点パネルデータの分析対象者239人の生年は大正12~昭和27(1923~1952)年で、2014年時点での年齢は62~91歳である。
次に、本研究において長期的な世帯変動を分析するため、同一世帯において対象者の次世代(子世代および孫世代)を形成することを「世代更新」と定義し、分析対象世帯を「子世代更新」「孫世代更新」「更新困難」「更新未確定」の4つのタイプに分類した。
また、農村家族は社会経済的変動の趨勢のインパクトを受けながら、きわめて短期間に劇的な変化を遂げている。このため、本研究では対象者の結婚時期を基準にした「結婚コーホート」を用いて、世代間の比較分析を行うことにした。そして、結婚コーホートを「昭和20年代結婚コーホート」、「昭和30年代結婚コーホート」、「昭和40~54年結婚コーホート」の3グループに区分した。これによって、結婚後ほぼ同じタイミングで社会経済的影響を受けたコーホート集団ごとに、「世代更新」の様相と経路を世代間比較することが可能となった。
さらに、2017年8月2~4日には韓国楊平郡西宗地区および牙山市において農村視察と情報収集、8月7日には韓国農村振興庁国立農業科学院で開催された海外専門家招聘セミナーで「日本の農村地域・農村家族の長期変動」の講演と意見交換を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

静岡県藤枝市岡部町朝比奈地域において1982年から2014年に社会調査を実施し、蓄積してきた膨大な調査データの中から、長期的な世帯変動を俯瞰できるパネルデータを完成させることは、非常に困難なことである。しかし、研究初年度である平成29年度中に1982年、93年、2005年、2014年における同一対象者世帯を追跡した239世帯分のパネルデータを完成させることができた。その上、分析対象者と夫の基本属性とライフコースの分析、パネルデータの分析概念や分析方法を決定することができた。
また、平成30年度から取り組む予定であった韓国での農村視察と情報収集を楊平郡西宗地区および牙山市の2地域において行うことができた。
さらに、韓国農村振興庁国立農業科学院からの招きにより、「日本の農村地域・農村家族の長期変動」というテーマで海外専門家招聘セミナーを開催し、講演するとともに韓国の農村研究者たちと意見交換を行うことができた。これによって、韓国ではこれまで農村地域における家族変動が注目されていなかったこと、国家戦略として現在は「帰村」をメインテーマの1つに掲げ、人口減少地域における巨大な革新都市の建設が急ピッチで行われていることを知ることができた。また、韓国農村振興庁国立農業科学院の研究員らとの協働について、具体的に意見交換と打ち合わせをすることができた。

今後の研究の推進方策

平成29年度に完成した1982年、1993年、2005年、2014年における同一対象者世帯を追跡した239世帯分の4時点パネルデータを用いて、「対象者-子世代-孫世代」の長期的な世代更新を俯瞰する。
平成30年度は、世代更新の4時点における全体的推移、結婚コーホート別の世代更新の様相、世代更新の経路について詳細に分析し、世代間の差異を明らかにする。
平成31年度以降は、世代更新の様相と世帯構成の関係性、各結婚コーホート内部にみられる世代更新の差異と世代更新に影響を及ぼした要因について検討する。その上で、次世代更新の標準的な経路から外れた世帯群を分析し、農村家族における世代更新の連続性と変異について明らかにする。
また、海外研究協力者である韓国忠南国立大学校社会科学大学准教授の金珠賢氏に、韓国の家族制度・家族変動・高齢者研究に関する助言・統計資料の提供を受ける。そして、韓国農村振興庁国立農業科学院との協働により、日韓の農村家族変動の同質性と異質性、帰村などについて研究を進める。

次年度使用額が生じた理由

当該助成金が生じた理由は、第1に、2017年度は韓国へ2回の出張を予定していたが、韓国農村振興庁国立農業科学院の海外専門家招聘セミナーの開催が8月となったため、韓国農村視察と連続した日程を組むことが可能になり、旅費が節約できたことがあげられる。また、第2に海外研究協力者である韓国国立忠南国立大学科校社会科学大学准教授の金賢珠氏がサバティカルのため米国滞在中で、訪日できなかったことによる。
平成30年度には、金賢珠氏を日本に招いて、韓国の家族変動、高齢者研究に関する意見交換、調査・視察の打ち合わせなどを重点的に進めていく。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (2件) 学会・シンポジウム開催 (1件)

  • [学会発表] 中部日本の茶生産地域における直系制家族の形成と消滅の軌跡-32年間の世代更新の推移と規定要因-2017

    • 著者名/発表者名
      佐藤宏子
    • 学会等名
      日本家政学会第69回大会
  • [学会発表] 中山間地域における農村女性のライフコース選択と世代更新の様相-4時点パネル調査の結婚コーホート分析より-2017

    • 著者名/発表者名
      佐藤宏子
    • 学会等名
      第27回日本家族社会学会
  • [学会・シンポジウム開催] 韓国農村振興庁国立農業科学院海外専門家招聘セミナー「日本の農村地域・農村家族の長期変動」2017

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公開日: 2018-12-17  

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