研究課題/領域番号 |
17K00775
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研究機関 | 武庫川女子大学 |
研究代表者 |
竹本 由美子 武庫川女子大学, 生活環境学部, 講師 (90581926)
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研究分担者 |
谷 明日香 四天王寺大学短期大学部, その他部局等, 講師 (30413446)
澤渡 千枝 武庫川女子大学短期大学部, 生活造形学科, 教授 (70196319)
小野寺 美和 甲南女子大学, 人間科学部, 講師 (90523762)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | スマートテキスタイル / プラズマ加工 / 蓄光素材 / 蒸れ感 / 視認性 |
研究実績の概要 |
本研究は、着用者が安全で快適な衣環境を得ることができる『スマートテキスタイル』の実用化を目指し、災害時や夜間歩行の安全性に役立つ衣服設計を試みるため、自ら発光する『蓄光素材』に衣環境を快適にコントロールできる新しい機能性を付与した『光るスマートテキスタイル』の創製が目的である。これまでの研究成果に基づいて環境に配慮可能な低温プラズマ処理を応用し、新たな試みとしてAirガス及びNH3ガスを併用した熱・水分移動特性のコントロールを試みる。 当該年度は、繊維材料の種類、構造などの違いによって、熱・水分移動特性のコントロールが難しいものもあることがわかり、繊維材料と処理条件(流量 、電力量、処理時間など)の関係性をより詳しく科学的に分析した。 その一方で、本研究では蓄光素材の衣服への応用を最終的な目標としているため、作成した蓄光布の視認性についても確認した。被験者実験によって、蓄光糸の種類や織編構造の異なる蓄光布で、どの程度明るく見えるのか、心理的な効果についても検証した。 プラズマ処理の効果については、処理条件を調整することで、熱・水分移動特性のコントロールの可能性に関して知見を得れた。被験者実験による蓄光布の視認性については、表面積が多くなる織編構造がより明るいと認識されるが、温かみや落ち着きなどの評価が下がる傾向もみられることから、継続的に蓄光素材を使用する場合には、明るさに加えて心理的な効果についても重要になることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度は、プラズマ装置の部品でありプラズマ加工部となるベルジャー本体を交換し、本実験に挑んだが、交換の不具合が生じて、プラズマ処理の開始に時間を要した。また、プラズマ処理条件を変更する必要があり、条件設定の再検討も必要になったことから進歩状況としてはやや遅れた状態となった。現在は、不具合もなく実験は開始できている。また、分担者が実施するはずであった実験が今年度不可能になったため、実験内容を一部見直し、次年度に実施予定であった蓄光布の視認性を確認する被験者実験を他の研究分担者と共に準備し実施した。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度で実施できていない、プラズマ処理条件の検討と繊維材料への影響について科学的に分析をおこない、熱・水分移動特性のコントロールの可能性について、各種機器を用いて効果を確認しながら、最適なプラズマ処理条件を見極め、本実験である蓄光布へのプラズマ処理に取り掛かる。織密度、組成、織構造の異なる各種蓄光布にプラズマ処理をおこない、各種機器を用いて形態観察、濡れ性、吸放湿性、接触冷感、風合いなどを測定し、熱・水分移動特性の変化を検討する。 また、蓄光布を実際に衣服として人が着用した場合にどのように感じるのかを想定し、主観的な評価をおこなう。評価用試料として、最適なプラズマ処理条件により処理をおこなった織密度、組成、織構造の異なる各種蓄光布を用いて、官能評価によって『蒸れ感』と視認性を明らかにするため、被験者による実験を計画している。ただし、今年度の進歩状況によっては、持ち越しとなる可能性もある。 これら最終的な研究成果は、論文にまとめて関連学会誌へ投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は、研究分担者1名が実験をおこなえず、他の分担者と共に研究計画の見直しをおこないながら、別の実験を実施するなど一部計画を変更して研究を進めた。よって、実験で使用予定であった消耗物品の購入も減ったことで、次年度使用額が生じた。次年度は当該年度に実施できていない実験に取り組むことから、実験で使用する消耗物品の費用が発生する。 また、科学的分析については他大学の機器を使用する必要がなくなり、必要な諸費用が削減できたことも理由である。
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