環境センサと移動ロボットを連携させ、見守りを行うシステムの開発を行った。具体的には、設置したカメラから得られる画像を用いて人物を発見・追跡し、人物の姿勢や動きをもとに状況を確認する。そして、人物が倒れ、より詳しい状態の推定が必要であると判断された場合には、移動ロボットが自動的に人物の傍へ行き、呼吸状態などのバイタルサインの確認や通報を行うことを想定している。 令和元年度の実績としては、指導学生の卒業研究として次の6つのテーマについて研究開発を行った。①室内環境認識:天井カメラで観測した距離画像を用い、人物や障害物の高さを考慮して室内環境を認識する方法を実装した。②人物姿勢推定:移動ロボットを転倒した人物の正面側から近づかせるため、実空間での高さを用いて側臥位かどうかを判別し、脚部の情報を用いて前方判定を行う方法を提案した。③自己位置推定:ロボットを転倒した人物の近くへ移動させる際、転倒した人物や未知の障害物によって自己位置推定に誤差が生じてしまう。そこで、そのような障害物を考慮して正しく自己位置推定を行う方法を実装した。④障害物回避:ロボットが目標位置まで移動する際、地図に無い未知の障害物を検知した場合にはその障害物を地図に追加し、迂回する経路を再探索する方法を実装した。⑤反射マーカー検出:移動ロボットに反射マーカーを取り付け、天井カメラの映像からロボットの位置推定を行う方法を提案した。⑥広域地図作成:対象範囲を分割して局所地図を作成した後、確率的地図の障害物存在確率に応じて合成することで廊下などの広域な地図を作成する方法を実装した。 また、これまでの研究成果をまとめ、査読付き論文誌Journal of Robotics and Mechatronicsに投稿して採録された。
|