研究課題/領域番号 |
17K00783
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
南保 英孝 金沢大学, 電子情報学系, 准教授 (30322118)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 植物生体電位 / 室内モニタリング / センサネットワーク / エージェント |
研究実績の概要 |
本研究では、室内に配置された観葉植物の生体電位が居住者の動きや位置によって影響を受けることを利用し、植物生体電位の変動から室内の居住者の位置を推定することを目的としている。特に植物と小型PCを組み合わせた「植物センサエージェント」を構成し、複数の植物センサエージェントを用いて各植物で自律的に位置推定行い、さらに他エージェントとの情報交換を行うことで、位置推定の精度を向上させる。平成29年度には、植物センサエージェントを構築するためにワンボードPCを用いた測定回路を設計・構築し、これまでの実験で用いていたデータロガーとほぼ同様の計測が可能となった。また、構築した回路を用いて生体電位を計測し、室内モニタリングの一環として生体電位から室内温度を推定するモデルの構築を試みた。この成果は国内学会で報告した。 また、位置推定に必要なアルゴリズムの構築を行った。本研究では機械学習を利用し、生体電位の変動と居住者の動きの関係をモデル化し、構築したモデルを各植物エージェント上で用いることを考えている。平成29年度に構築したアルゴリズムでは、実際の運用を想定し、モデルを構築する環境と実際に推定を行う環境が異なる場合で研究を行った。つまり、学習データ取得環境と異なる環境での位置推定を試みた。また、相関ルール解析手法を用いた位置推定アルゴリズムの構築も行った。これらの成果については国内学会、国際会議において報告し、さらに国際ジャーナル1編の採録が決定している。現在は1つの植物エージェントによる推定であるため、精度が十分であるとは言えないが、今後複数のエージェントによる推定を行うことで精度向上の余地があると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度の研究計画で挙げていた、植物センサエージェントの構築は、ハードウェア面ではほぼ完了した。ソフトウェア面の複数のセンサエージェントによる推定アルゴリズムの構築は平成30年度の研究計画となっている。 生体電位と居住者の動きの関係については、現時点では居住者の距離と位置推定に関する部分は順調に進んでいる。一方、、居住者の他の振る舞いについてはまだ調査が進んでいない。但し、距離以外を推定するためには1つのセンサエージェントでは困難であることが予想されるため、センサエージェントのソフトウェア面での構築を進める必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度以降では、植物センサエージェントのソフトウェア面での構築を進めていく予定である。各植物で測定した生態電位の情報や、距離・位置推定の結果などを他のエージェントと交換・共有することで、推定精度を向上させるアルゴリズムの構築を行う。また、距離や位置だけではなく、複数のセンサエージェントを用いて居住者の振るまい推定を行うアルゴリズムの構築も進めていく予定である。
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