研究実績の概要 |
高齢居住には近隣との交流や地域から日常的支援が重要である。しかし、地域連携・協働の多世代共生コミュニティ構築と維持の困難性も指摘される。本研究は、地域連携・協働による多世代共生コミュニティ構築の成功先進事例として知られる、社会福祉法人佛子園が開設運営する「シェア金沢」及び、平成30年4月に開設された佛子園による地方創生施策の「生涯活躍のまち」認定プロジェクト「輪島KABULET」を主な調査対象とし、生涯活躍のまち構想、まちづくりと連携したサービス付き高齢者向け住宅のあり方に示唆を得ようとしている。 「輪島KABULET」は2017年、2018年、2019年に拠点施設周辺地区世帯の悉皆ヒアリング調査を実施できた。その後は、高齢者の利用が多い施設であり、地区としても高齢化が進んでおり、コロナの影響も大きくヒアリング調査を断念し分析を中心に研究を実施した。2019年の調査結果を2018年度調査と比較すると、夫婦のみ世帯の減少(2018:37.8%,2019:27.9%)と単身世帯の増加(2018:28.9%,2019:32.7%)、高齢化率の上昇(2018:45.1%,2019:48.4%)が顕著にみられた。空き家の増加、空き家の空き地化も進んだが、空き家・空き地への新規入居・新築(予定を含む)の事例もみられた。近所づきあいなど地区住民の交流は全体としては促進している。施設の利用については、拠点の温泉は64%、そば処は44%と割合はあまり変化なく安定した利用率になっている。イベントへの参加者率は増加し、また参加希望も多い。地域連携・協働の推進役を担う可能性がある住民の存在が期待される(施設職員のヒアリングより)が、イベント等の企画に関わりたいとする者は3%と非常に少なく、「輪島KABULET」が施設やイベントを提供し、住民は享受するという形が定着してきたようだ。
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