研究課題/領域番号 |
17K00787
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
山田 由佳子 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (20304074)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 肢体不自由児 / 医療的ケア / 既製服 / リフォーム / 特別支援学校 |
研究実績の概要 |
本研究は、肢体不自由児を対象とした既製服リフォームによる衣生活改善を目的としており、特別支援学校での支援システムの構築を目指している。交付申請時には肢体不自由児全般を対象としていたが、H29年度の研究結果より、一歩踏み込んで医療的ケア児に特に着目して研究を進める方向へ転換を行った。 H30年度には、自分では着替えが出来ず、保護者等が着替えをさせる児童生徒、又は医療的ケアの中でも気管切開および胃ろうをされている児童生徒に対応した衣服等を中心にリフォーム方法等の検討、試作、研究協力児による試着を繰り返し、最適なリフォーム方法、および作成方法の確立を行った。 具体的には、乳幼児用ボディを利用し、リフォームして大きいサイズのボディに作りかえる方法や、かぶり型のボディを前開きに変える方法、また、カニューレバンドや人口鼻押さえバンドの作成方法、ペグカバーの作成方法等を、出来る限り簡易な方法で行えるよう工夫した。これらのリフォーム、及び作成方法について、詳しいリフォーム、作成手順を説明した動画を作成し、タブレットで気軽に確認できるようにした。また、同様に、手順を写真、イラストでわかりやすく記載した手引書の作成も行った。 一方で、予定していた保護者および特別支援学校教員へのアンケート調査については、医療的ケア児への転換から大幅なアンケート項目の改定を行い、保護者および教員にプレ調査を行って、さらに修正を行った上で本学倫理委員会の承認を得るまでに予想外の期間を要したため、配布時期について検討した結果、H31年度へ繰り越すことに決定した。現在、配布予定校の行事予定等から7月頭の配布、回収を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画にてH30年度に予定されていた問題のある衣服のリフォーム方法の検討、作成手順の確立は順調に行われ、詳しい作成手順の動画の作成、手引き書の作成も終了しており、予定通り進んでいる部分もある。しかし、H29年度に研究協力者である肢体不自由児の手術、長期入院により聞き取り調査が遅れ、また手術後に医療的ケアに対応した衣服への大幅な方向転換を行ったことによる遅れは完全に取り戻せたとは言えない。特別支援学校における保護者および教員を対象としたアンケート調査時期が最終年度に延期されたこと等からやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度では、まず延期されていたアンケート調査を特別支援学校の保護者および教員にむけて実施し、衣服の問題点に対する現状を把握する。その上で、希望する保護者を募って衣服リフォーム講習会を開催する。講習会にはH30年度に作成した動画および手引書を活用する。講習会後事後アンケートを行い、改善点を探る。 また、本学の特別支援学校に配属される可能性のある学生を対象に、肢体不自由児や医療的ケアが必要な児童生徒の衣生活についての理解を深めさせ、既製服リフォームに対するアドバイスができる能力を身に着けさせるための教育プログラムを開発する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画していた特別支援学校における保護者および教員へのアンケート調査時期がH29年度の研究協力児の長期入院によりH30年度に延期され、さらに長期入院の結果、予定していた研究協力児の通う学校でのアンケート調査実施が困難となり一から協力校を選定する必要があったこと。医療的ケア児に着目した研究へ変更したため調査票の再検討の必要が生じたことなどから、アンケート調査は最終年度に延期となった。そこで、アンケート調査における配布、回収費用、または集計等のアルバイト費用を次年度に繰り越すこととした。従って、最終年度では繰り越した費用にてアンケート調査を行い、最終年度の助成金にて予定通り講習会の実施、マニュアルの改訂等を行う予定である。
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