研究実績の概要 |
本研究は、肢体不自由児を対象とした既製服リフォームによる衣生活改善を目的としている。最終年度である令和元年度は、特別支援学校に通う児童生徒の保護者および教員を対象にアンケート調査を行い、保護者へのリフォームの作成指導を行った。 アンケート調査の結果から、衣服の問題点として障がいにあった衣服が売っていない、売っていても高いとの不満から、リフォームの必要性が示唆された。しかし、実際にリフォームを行ったことがある人は半数程度であることが明らかとなった。リフォームをしたいと思ったときに妨げになるものとしてはリフォーム経験者では「時間・余裕がない」ことが挙げられ、未経験者では「やり方がわからない」「上手くできない」が挙げられたことから、未経験者に対する講習会の有効性が示唆された。相談をする人は親祖父母等親戚が最も多いことから、もっと気軽に相談でき、リフォーム方法の指導を受けられる場所が必要であると考えられる。教員側からも、上衣が着替えさせにくいことが多く、医療的ケアの中でも気管切開や胃ろうをしている児童生徒には前開きの服が必要と感じていることから、衣服リフォームの中でも前開きリフォームを簡単に行う方法について確立する必要性が示唆された。 これらの結果を受けて、肢体不自由児の保護者2名にボディを大きくする方法と、トレーナーを前開きにする方法のリフォーム指導を行った。H29,30年度で作成した冊子等を用いて指導を行った結果、二名共簡単に習得することができ、満足度も高かった。当初学校等での講習会を予定していたが、開催にこぎつけることは出来なかった。こちらの啓発が不十分であったことも一因ではあるが、一定の日時、場所を指定して集まる講習会形式は敷居が高いと考えられる。今後は、オンライン指導や動画配信等、保護者の時間空間的負担が無い形でのリフォーム支援が必要であると考えている。
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