本研究の目的は,未来を担う子ども達に,正しいエネルギー・環境意識と環境配慮行動を定着させるために,どのような次世代教育が有効であるのか,その手がかりを掴むことである。 初年度にモニタ住宅の選定,測定方法の検討を行い,1年目の調査として,平成29年秋期・冬期,平成30年夏期に,親子の省エネ意識・行動・知識の質問紙調査およびエネルギー使用量の測定を行った。1年目は各モニタ住宅で普段どおりの生活をしてもらっている。2年目の調査では,各モニタ住宅への介入方策として,省エネ行動の目標を提示し,さらに調査期間中の生活行動の振り返りを依頼した。2年目の調査は平成30年冬期,令和元年夏期・秋期に実施している。これらの調査結果より,省エネ意識・行動・知識の実態と介入方策の効果を検討した。 省エネ意識・行動について,目標提示と振り返りにより,大人,子ども共に意識が高まり,省エネ行動を推進させる可能性が示唆された。生活における省エネ行動は,親の実行割合が高いほど子どもの実行割合も高い傾向がみられ,特に小学生低学年の子どもにその傾向が強くみられた。エネルギー使用量は,目標提示や振り返りにより減少する可能性が示唆されたが,気候条件,居住者の成長,生活スタイルの変化など,様々な要因が関係すると考えられる。家族における親子の意識の差異や子どもの学年による差異を明らかにしたことにより,段階に応じた省エネ教育を検討することが重要であると考えられる。 また,現行の小・中・高等学校の学習指導要領の学習内容を整理し,省エネ教育との関連を検討した。その結果,各学年に応じて教科間連携により,より効果的な省エネ教育の可能性が示唆された。また,今後は校種間連携により,継続的な省エネ教育のあり方を検討することが課題となる。
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