環境調和型染色を目指し、羊毛、天然染料、酵素を用いて検討した。ラッカーゼは天然染料に対し2つの作用を持つ。1つは色素を退色・脱色する作用、2つ目は染料の水素分子をひきつけ共役系が長くなり発色する。ほとんど無色のヘマトキシリンは2つ目の作用によって数分以内に有色物質になった。ヘマトキシリン/ラッカーゼ系で染色した羊毛は大きなK/S値を示し濃色化した。これは発色物質の吸着のためであるが、1時間後K/S値は減少した。一方、バイカリン/ラッカーゼ系の溶液は450nmの色が変化し、この色は長時間安定であった。この溶液で染色した羊毛は高いK/S値を示したが、ルチン/ラッカーゼ系は染着しなかった。
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