現在、廃棄物の再利用が進んでいない羽毛、羊毛、絹などのタンパク質繊維の廃棄物に付加価値をつけることで、我々の生活環境で役に立つ消臭材料として再生するために、これらの繊維が持つアミノ基やカルボキシ基などの荷電基、極性基を、簡単な化学的または物理的加工によって増やすことを試みる。 これまでの羽毛、羊毛、絹についての基礎的な研究の上に、悪臭の消臭について、①材料の加水分解の効果、②材料の細繊化の効果、③細繊化と加水分解の相乗効果を明らかにし、素材の消臭容量の実用化レベルへの増大を図る。 これに先立ち、平成29年度は、廃棄羽毛、羊毛、絹そのものと、衣料品廃棄物を念頭に、羊毛、絹などの染色布や、ヒドロキシ基などの極性基を持つ綿100%のブルージーンズの端切れ、使い古したレーヨン100%の布巾、古新聞紙などセルロース系物質のアンモニア、酢酸等の臭い物質の消臭速度と消臭容量を測定した。 その結果、羽毛、羊毛、絹繊維はアンモニア、酢酸、エタンチオールなどの臭いに対して、選択的な消臭性能を持つこと、2種類の媒染布は未処理布よりも消臭速度も消臭容量も大きくなることがあることが分かった。また、ブルージーンズ、布巾、新聞紙などのセルロース製品よりも羽毛、羊毛、絹などのタンパク質繊維の方が消臭速度も消臭容量も大きくなることが明らかになった。
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