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2018 年度 実施状況報告書

生活道路の滞留空間づくりと実現のためのシティズンシップ教育

研究課題

研究課題/領域番号 17K00800
研究機関日本女子大学

研究代表者

薬袋 奈美子  日本女子大学, 家政学部, 教授 (60359718)

研究分担者 寺内 義典  国士舘大学, 理工学部, 教授 (00338295)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードボンエルフ / 生活道路 / 滞留空間 / シェアードスペース / 交通規制 / 交通静音化 / 子どもの遊び空間
研究実績の概要

海外におけるホームゾーン、ボンエルフの制度と実態に関する研究を、昨年度に引き続き行った。オーストリアにおけるボンエルフにかかわる制度について、現地の専門家のレクチャーも受けたうえで整理・発表することができた。スイスについても調べ始めたが、さらなる調査が必要で、まだ公表の段階にいたっていない。
オーストリアでは、ボンエルフに該当するWohnstrasseというルールと、シェアードスペース、或いは出会いの道に該当するBegegnungsozoneとが併用されている。ボンエルフは一般住宅地内の道路での取り組みであり、文字通り生活の庭として、子供たちが遊んだり、立ち話することが、道路の真ん中であっても許容され、自動車の運転者は、そういった生活行為に配慮することが求められている。一方、出会いの道については、道路断面の再配分も行うなどして、道路空間そのものをシェアードスペースに適したものに改変することが求められている。いずれも時速7㎞程度での走行という認識がされており、安全な生活環境を創出している。
日本での先進的な取り組みについても調査を行い、発表することができた。新潟県十日町市の事例であるが、既成市街地内の狭隘道路の改修を期に、比較的安価で、特別な規制を設けなくても導入できる、道路の生活空間化の事例である。この事例を整理したことは、社会実験予定のまちの住民に対して示すことで、社会実験への同意を得やすい材料となった。
また平成31年度に実施予定である社会実験は雑司ヶ谷で実施することとなった。そのための準備として、道路の現状と、これまでの歴史的背景を確認した。地域の道路環境についての調査や、住民への理解と協力を得られるようにするための取り組みを行うことができた。また、社会実験実施にふさわしい場所についても、住民の意見をもとに絞られつつある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

海外のボンエルフに類する制度は、国ごとに様々な事柄を配慮して、かなり異なるルールを設けていることがわかってきた。この詳細については、研究を深める必要がある。
日本での適応に向けての社会実験の準備は順調に進んでいる。まだ許可をとれたわけではないが、地域住民や地域の学校の理解は得られつつある。また日本での柔軟な道路空間利用(住宅地内)の事例について調査を行うことができたので、こういった事例の蓄積は、社会実験実施の準備に重要な一歩となった。

今後の研究の推進方策

本年度は最終年度であい、社会実験を行い、住民の意見を踏まえて、日本でのボンエルフ導入の可能性を検討する。また日本での可能性の検討に必要な知見を、海外での導入のための制度環境についての調査も深める。
社会実験は、豊島区雑司が谷において行う予定である。既に住民からは交通安全上何か対応が必要だと感じているポイントについてのヒアリングを行った。その結果に基づいて調査場所を選定したうえで、交通実態調査を行う予定である。更にその結果を踏まえた、対応策を検討する中で、生活のための庭としての空間利用につなげる社会実験の実現を図る。
更に、欧州におけるボンエルフの制度は、各国ごとにかなり違うということがわかってきた。また、その詳細について知る研究者も少ないようである。しかし各国とも、地域の実態や、道路運用・管理に対するスタンスの違いが、このような制度の違いに表れているものと考える。各国の詳細な運用の実態と、それに至る経緯を整理することが望ましい。 既にオランダの調査から、ボンエルフの導入には、道路一本ずつのランク付けを行うことが、スムーズな導入に欠かせないことはわかっている。本年度は、社会実験実施の道路の位置づけを、このランク付けを仮に行ってっみる予定である。このようなプロセスを通して、日本での制度導入の可能性を検討する会実験の結果と組み合わせることにより、新しい道路空間の在り方を提言できる。

次年度使用額が生じた理由

研究分担者が、学外調査・発表などに使用する予定の予算であったが、日程が合わず実施できなかったため予算が残った。研究打ち合わせ会の実施や、社会実験のための準備については、科研費を用いる費用がかからなかったため、残った金額である。
なおこの残金は、2019年度に実施する予定の、社会実験及びその準備のために使用する予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] 欧州におけるボンエルフの現状 オーストリアにおける"生活の道 Wohstraße"と"出会のゾーン Begegnungszone"2019

    • 著者名/発表者名
      薬袋奈美子
    • 雑誌名

      都市計画報告

      巻: 17 ページ: pp413-418

  • [雑誌論文] イギリスのホームゾーン整備状況と地域コミュニティへ与えた影響 : マンチェスター・ノースムア地区を対象として2018

    • 著者名/発表者名
      原 わかな , 薬袋 奈美子
    • 雑誌名

      日本女子大学大学院紀要. 家政学研究科・人間生活学研究科

      巻: 24 ページ: 143-152,

  • [学会発表] 5 歩きやすい住環境へ向けたコミュニティ組織の活動:ー英ブリストル市サウスヴィル地区を事例としてー2018

    • 著者名/発表者名
      原 わかな , 薬袋 奈美子
    • 学会等名
      一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 70(0), 11-11,
  • [学会発表] What makes streets to be places for living?2018

    • 著者名/発表者名
      Namiko MINAI
    • 学会等名
      GREAT ASIAN STREETS SYMPOSIUM / PACIFIC RIM COMMUNITY DESIGN NETWORK / STRUCTURES FOR INCLUSION
    • 国際学会
  • [学会発表] Utilizing Residential Streets as Living Spaces -A Case Study of Three Home Zones in the UK-2018

    • 著者名/発表者名
      原わかな、薬袋奈美子
    • 学会等名
      Great Asian Streets Symposium、Singapore
    • 国際学会
  • [学会発表] 住宅地内の道路を生活の場とするための研究 その4 -Northmoor地区のHome Zone整備を対象として-2018

    • 著者名/発表者名
      原わかな、薬袋奈美子
    • 学会等名
      日本建築学会学術講演
  • [学会発表] 住宅地内の道路を生活の場とするための研究 その6 -サウスビル地区内における地域内歩行を促すイベント-2018

    • 著者名/発表者名
      杉浦美鈴、原わかな、薬袋奈美子
    • 学会等名
      日本建築学会学術講演

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公開日: 2019-12-27  

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