建築内外装仕上げ材の表面のテクスチャーを定量的に把握することを目的として,まず,建築内外装仕上げ材の質感評価実験を行い,次いでその結果を基に,実建築における実測調査を行った。いずれも表面のテクスチャーの撮影画像から輝度画像の抽出を行った。 まず,代表的な建築内外装仕上げ材を試料とし,試験片の大きさでの質感評価,および,それらを室内の縮尺模型として提示した質感評価を行った。また,シャッタースピードを変化させた撮影画像から輝度画像を作成した。その結果,固有の色彩を有せず,かつ。濃淡模様のあるテクスチャーは,他のテクスチャーと調和しやすいことが示唆された。試験片では評価しにくく,3次元の空間にすることで評価がしやすいことも明らかとなった。 次に,無彩色,かつ,テクスチャーに特徴のある国内外の建築を挙げ,実測調査を行った。日本国内では,白漆喰の仕上げが多く,低光沢であった。表面の粗滑は,一定の面積の撮影画像による輝度分布で把握できることが示唆された。国外の対象として,白漆喰の内装仕上げ,白色シルクスクリーンのガラス外壁の建築について実測調査した。漆喰は,現地の土を原材料としており,コテ仕上げの程度によって輝度色度および見えの色が変化した。シルクスクリーンの面積による遮光率,室内・屋外の光量の差によって輝度対比が異なり,地と図の現れ方が変化した。さらに,これらの輝度値を用いたシミュレーションによって,室内の光環境を推定することができることがわかった。
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