研究実績の概要 |
前年度に引き続き,実際の浴槽水を用いたモデル循環式浴槽におけるレジオネラ属菌の不活化の検討を行い,以下のことを明らかにした。 1)レジオネラ属菌の不活化に及ぼす家庭用浴槽水の影響: オゾン注入率は0.1mg-O3/Lにおいて,RO水(純水)を用いた場合,オゾンガス注入開始から20分(空間時間の2倍)でレジオネラ属菌を99.9%以上不活化できた。一方,家庭用浴槽水の場合は,82%しか不活化できなかった。家庭浴槽水のNPOC(不揮発性有機炭素)は1.16±0.40mg/L(n=20),またTN(全窒素)は 4.59 ±2.04mg/L(n=13)であった。 2)レジオネラ属菌の不活化に及ぼすオゾンガス注入率: 浴槽水に注入するオゾンガスの注入率を0.0, 0.1, 0.3,0.5,0.8mg-O3/Lと変化させて,オゾンガス注入開始から20分でレジオネラ属菌を99.9%以上不活化するために必要なオゾンガス注入率は,0.5mg-O3/Lであった。この時の浴槽水のオゾンガス注入開始から20分後のエジェクター出口の溶存オゾン濃度は0.22mg-O3/Lであり,また気液分離機出口の溶存オゾン濃度は0.1mg-O3/L,浴槽水の溶存オゾン濃度は0.0mg-O3/Lであった。さらに,浴槽水の溶存オゾン濃度が0.01mg-O3/L以上になった時の気液分離機出口の溶存オゾン濃度は0.3mg-O3/Lであった。 4)安心・安全なシステムの検討: 入浴者が安心・安全に入浴できる浴槽システムは,上記2)の結果からオゾンガス注入率を0.5mg-O3/L,浴槽水の溶存オゾン濃度を0.1mg-O3/L以下,気液分離機出口の値を0.1mg-O3/L以上とする。 3)レジオネラ属菌の迅速検出法の検討: フローサイトメトリーおよび2種類の蛍光試薬を用いてレジオネラ属菌の生菌数を数時間で測定できることを確認した。
|