研究実績の概要 |
連続型層状構造の固体非膨化食品について,「微細構造-咀嚼時の破断挙動-呈味性(塩味)」の関連性を検討した。(1)連続型層状構造の固体非膨化食品の理化学的特性の測定:固体非膨化食品のモデルとして,配合が単純であり,得られた知見の汎用性を期待してダンプリング生地の乾燥物にした。塩化ナトリウムを配合した平板状生地と非配合の平板状生地を重層・圧延させて連続型層状構造を形成させた。これを特徴付けるために,密度,水分活性,曲げ強度,ミクロ/マクロ微細構造(走査型電子顕微鏡)を測定した。(2)固体非膨化食品の人工唾液に対する濡れ性の測定:接触角測定装置を用いて,試料片に対する人工唾液の接触角を測定した。(3)固体非膨化食品の人工唾液吸収挙動と膨潤挙動の測定:立方体状の試料片を所定温度の人工唾液に浸漬した際の人工唾液吸収量をする。人工唾液吸収過程での試料片の形状変化をディジタル高速度カメラにより計測した。(4)咀嚼過程における塩化ナトリウムの食品外への移動挙動の測定:所定温度の人工唾液に浸漬した立方体状の試料片を経時的に採取し,これを単軸圧縮・引張型レオメータにて等速圧縮変形を所定回数繰り返す際に,試料中から人工唾液に溶解してくる塩化ナトリウム量をイオンメータで測定した。試料片の崩壊挙動を高速度カメラで撮像した。(5)食塊のレオロジー的挙動の測定:食塊を試料にして,動的粘弾性測定装置を使用して動的粘弾性,大変形の応力成長を測定した。(6)固体非膨化食品の塩味の官能評価:訓練したパネルにより,塩味の強度を5段階カテゴリー尺度で評価した。2種3層試料を1辺長が48, 12, 6, 4, 3mmの直方体になるように切断して表面積を変化させて人工唾液に溶出したNaイオン量を測定したところ,試料表層に塩化ナトリウムを偏在させればNaイオンが唾液に効率良く溶出することが分かった。
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