研究課題/領域番号 |
17K00810
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
三浦 靖 岩手大学, 農学部, 教授 (50261459)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 適塩化 / 低糖質化 / 加工食品 / 層状構造 / 破断 / 咀嚼 / 呈味 |
研究実績の概要 |
平成29年度末に,当該年度の未実施事項を含めて平成30年度計画を見直して,連続型層状構造の固体非膨化食品について,「微細構造-咀嚼時の破断挙動-呈味性(塩味・甘味)」の関連性を検討した。項目(1)連続型層状構造の固体非膨化食品の理化学的特性の測定:塩化ナトリウム・ショ糖を配合した平板状生地と非配合の平板状生地を重層・圧延させて連続型層状構造を形成させた。これを特徴付けるために,試料の水分含量,嵩密度,曲げ強度を測定した。項目(2)固体非膨化食品の人工唾液に対する濡れ性の測定:接触角測定装置を用いて液滴法により試料片に対する人工唾液の接触角を測定した。項目(3)固体非膨化食品の人工唾液吸収挙動の測定:試料の質量,咀嚼した試料の水分含量,および唾液の水分含量を測定し,それらの測定値から咀嚼した試料中の唾液含量を算出した。項目(4)咀嚼過程における塩化ナトリウム・ショ糖の食品外への移動挙動の測定:咀嚼した試料からの塩化ナトリウム溶出量をイオン電極法,ショ糖溶出量を液体クロマトグラフィー法で定量した。項目(5)食塊のレオロジー的挙動の測定:食塊を構成している固体粒子が大きいために,測定治具(円錐-円板,円板-円板)に装填できず,測定を断念した。項目(6)固体非膨化食品の甘味の官能評価:選定したパネルを用いて,甘味強度を7段階カテゴリー尺度で評価した。 項目(7)固体食品の設計指針の策定の準備:材料物性シミュレーションソフトウェア(J-OCTA)で,多相構造と物質移動のモデル化変数を検討するために,2軸回転楕円体を単位粒子にした粒子充填構造モデル(現段階では,粒子間の付着力や摩擦係数などの相互作用を無視)を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成30年度の目的は,連続型層状構造の固体非膨化食品について「微細構造-咀嚼時の破断挙動-呈味性(塩味・甘味)」の関連性を明らかにすることであった。そのために,次の計画を立案した。項目(1)連続型層状構造の固体非膨化食品の理化学的特性の測定:固体非膨化食品のモデルとして,配合が単純であり,得られた知見の汎用性を期待してダンプリング生地の乾燥物にする。ショ糖を配合した平板状生地と非配合の平板状生地を重層・圧延させて連続型層状構造を形成させる。これを特徴付けるために,密度,水分活性,曲げ強度を測定する。項目(2)固体非膨化食品の人工唾液に対する濡れ性の測定:接触角測定装置を用いて,試料片に対する人工唾液の接触角を測定する。項目(3) 固体非膨化食品の人工唾液吸収挙動の測定:試料の重さ,咀嚼した試料の水分含量,および唾液の水分含量を測定し,それらの測定値から咀嚼した試料中の唾液含量を算出する。項目(4) 咀嚼過程における塩化ナトリウム・ショ糖の食品外への移動挙動の測定:咀嚼した試料からの塩化ナトリウム溶出量をイオン電極法,ショ糖溶出量を液体クロマトグラフィー法で定量する。(5)固体非膨化食品の甘味の官能評価:訓練したパネルにより,甘味の強度を5段階カテゴリー尺度で評価する。(7)固体食品の設計指針の策定の準備:材料物性シミュレーションソフトウェア(J-OCTA)で,多相構造と物質移動のモデル化変数を検討する。このうち,塩味に関しては全項目を完了したが,甘味関しては項目(3)~(5の一部が未完である。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度には,まずは平成30年度の未実施事項を完結させる。そして,当初は呈味物質(塩化ナトリウム,ショ糖)を配合しない平板状生地上に,短冊状に成形した呈味物質配合生地を一定間隔で並べ,この上に無配合の平板状生地を重層することを繰り返し,これを圧延させて孤立型層状構造を形成させることを計画していた。しかし,その後に本研究に使用できる規模・精度の3Dモデリング装置(吐出口内径0.58mmの2条ネジテーパノズル)が開発・入手できたので,平成31年度にはこれを用いて孤立型層状構造を形成させることにする。
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