研究課題/領域番号 |
17K00813
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
小杉 伸一 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任教授 (90401736)
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研究分担者 |
石川 卓 新潟大学, 医歯学総合病院, 准教授 (70586940)
羽入 隆晃 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (50719705)
市川 寛 新潟大学, 医歯学系, 助教 (50721875)
相澤 直孝 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任教授 (60464012)
真柄 仁 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (90452060)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 消化器外科手術 / 摂食嚥下障害 / 包括的機能評価 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,腹部手術前後の嚥下機能を包括的に評価することと,嚥下機能障害に関連する因子を探索することである.その方法として,腹部手術予定患者45例に対して,手術前後に反復唾液嚥下テスト,改訂水飲みテスト,3オンス水飲みテスト,発声持続時間と舌圧の測定,嚥下内視鏡検査を行った.手術前後の検査値を比較し,それぞれの検査値の変化と臨床病理学的因子の関連を調べた.最終年度は2施設のデータを統合して解析を行った.解析の結果,発声持続時間(14.5秒から11.5秒)と舌圧(32.4kPaから30.6kPa)が有意に低下していた.発声持続時間の変化と年齢(相関係数-0.298),舌圧の変化と年齢(相関係数-0.438)に負の相関があった.発声持続時間の変化は術前発声持続時間(相関係数0.673),手術時間(相関係数0.375)と正の相関があった.同様に,舌圧の変化は術前舌圧と正の相関があった(相関係数0.665).発声持続時間と舌圧の変化と他の臨床病理学的因子との間に関連はなかった.本研究では35例が上腹部手術を受け,そのうち6例が食道切除であった.上腹部手術後や食道切除後では肺活量が低下し.かつ食道切除は長時間手術であることから発声持続時間が有意に低下し、その変化が手術時間と正相関したと考えられた.舌圧は食道切除前後で有意に低下した(36.1kPaから31.1kPa).食道切除後の禁食期間が15日と長いため,廃用性筋委縮により舌圧が低下したと考えられた.しかし,発声持続時間と舌圧の変化が年齢と逆相関し,それぞれの術前値と正相関する理由は不明であった.したがって,発声持続時間と舌圧の変化は嚥下機能低下と直接関連しない可能性があり,臨床的意義についても不明である.以上の研究成果を,第72回日本食道学会学術集会(2018年,宇都宮)にて発表した.また英文誌に投稿し査読中である.
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