研究課題/領域番号 |
17K00817
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
井奥 加奈 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (40243282)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | パプリカ / 焼き調理 / 有機酸 / 全糖量 |
研究実績の概要 |
前年度に実施した野菜の調査をもとに、焼いて摂取することの多いパプリカに着目し、オーブン(TOSHIBA ER-PD5000)を用いて焼いた時の呈味成分含有量の変化について検討した。パプリカは宮城産(の赤パプリカを用い20×20㎜の試料片を調製して実験に用いた。呈味成分として有機酸(リンゴ酸、クエン酸)をHPLC法で、糖は全糖量をフェノール硫酸法で測定した。物性(クリープメーターによる破断強度測定)と試料内部温度(熱電対による測定)、水分含有量についてもあわせて検討した。加熱温度を120℃、180℃で調理した結果、いずれの温度で焼き調理しても水分減少率は約50%になることが分かった。全糖量の測定からは、生鮮100gあたりに換算すると非加熱試料(120℃2.93g、180℃3.30 g)に対して120℃20分で97.7%、180℃8.5分で100.9%であったが、調理後100gあたりにすると、対照(非加熱試料)を100%に対して、120℃20分で133.3%、180℃8.5分で126.5%の増加が認められた。そこで水分減少率と全糖量の相関を検討したところ、R=0.98以上の高い相関が認められた。また、有機酸含有量は、生鮮100gあたりのリンゴ酸含有量は180℃加熱において対照試料が41.1±13.4㎎、11分調理で27.0±3.2㎎で有意な相違は認められなかった。クエン酸含有量は対照が279.6±53.7㎎、11分調理で238.0±31.4㎎になり有意であった(p<0.05)。以上のことから、パプリカが焼くと甘くなることの要因として、試料の水分含有量が焼き調理により減少したことによって、口腔内で圧縮した際に放出される溶液の糖濃度が高くなったことと、甘味を弱くする作用を持つ酸味を呈するクエン酸が減少傾向にあったことから、結果的に甘く感じられるのではないかと推察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
パプリカの研究から、糖質の少ない野菜試料に対しては水分減少率のほかに他の成分含有量の関与を示すことができた。これまでは、加熱することによる「かさ」の減少から健康維持のためには加熱調理が有用であることを示していたが、加熱調理による甘さの増加も合わせて客観的に提示し、野菜を加熱することの意義としてまとめることができるのではないかと考える。 また、研究実績として挙げてはいないが萌芽的挑戦として調理レシピを読み解き流れ図にする作業をプログラミングにより構築することで、思考型調理実習が現場で実践可能なのではないかと考えるに至った。家庭での調理は日々調理作業を行うことが多いため、安価で出盛り期の野菜を購入して、適切に調理するのが一般的な流れではないかと考える。購入した野菜をうまく消費するための学習手段としてプログラミング的思考を活用したワークシートやWEBツールは新しい学習指導要領にもあうと考えられる。思考型調理実習というキーワードを明確にできたこととパプリカの研究成果を合わせておおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
別の野菜としてかぶをとりあげ、同様に加熱した時の甘さについて検討する。また、パプリカやキャベツを用いて口腔内で圧応を縮した際に放出する成分量を定量できる実験モデルを構築したい。 パプリカに関しては今回の研究成果が11-12月購入のパプリカであったので、6-8月購入のパプリカで傾向の再現性を確認したい。 プログラミングについては、ワークシートを用いてプログラムの原型を作ったのち、Scratchでプログラムのアウトラインを構築し、大学生の協力を得て完成を目指したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度に新たな野菜(カブ)を研究対象として取り上げ、引き続いて実験を行う予定で、実験用試薬・器具などの消耗品関連予算が必要である。また、調査をまとめる際に投稿料などの予算も確保したい。
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