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2019 年度 実績報告書

二酸化炭素の加圧溶解による一時的酸性化を利用した新規中性食品加工技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 17K00818
研究機関佐賀大学

研究代表者

野間 誠司  佐賀大学, 農学部, 准教授 (40392071)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード二酸化炭素 / 殺菌 / 抽出 / 減塩魚醤 / 中性食品
研究実績の概要

食品の酸性化は、殺菌や酵素失活処理の容易化、抽出・加工特性の改良等の利点をもたらす。そこで、二酸化炭素の加圧溶解(加圧CO2)を利用した一時的な酸性化を基盤とし、「温州ミカン果皮からのペクチンの抽出」、「減塩イワシ魚醤の製造」の検討を行った。
<ペクチンの抽出>2年目に、加圧CO2下では従来法とは異なる糖組成を有するペクチン分子を抽出できることが明らかとなったため、実際に糖組成の詳細を調べた。従来法であるHClおよびヘキサメタリン酸ナトリウム(SHMP)抽出では、ミカンの成熟度に依存せずGlcUA、Ara、およびGal含量が多く、全体の84%以上を占めた。一方、加圧CO2抽出では、新鮮なミカンにおいて、GlcUAの含有量が著しく減少し、Ara、Glc、Gal、Man、およびXylの含有量が増加した。成熟したミカンでは、3 MPaでは、AraとGlc含量が多かった。 これらの結果より、加圧CO2では分岐に関わる単糖含量の多いペクチンを抽出可能であることが示唆された。
<減塩イワシ魚醤>2年目に加圧CO2下(塩濃度10%)と従来法(大気圧下、塩濃度20%)で6か月間作製したイワシ魚醤の品質分析を行った。従来法では一般生菌が検出されたが、加圧CO2法では検出されず、腐敗性のアミン類の生成も3, 5 MPaでは完全に抑制された。また、加圧CO2法では刺激性の有機酸生成も抑制された。一方、加圧CO2法での総アミノ酸含量は、従来法の約2.8倍であった。官能検査により、従来法の魚醤は刺激臭、腐敗臭、酸敗臭が強く、加圧CO2法の魚醤は出汁様の香りが強いと評価された。以上より、イワシ魚醤の作製過程に加圧CO2を適用することで、安全性向上、腐敗抑制、酸化低減、アミノ酸含量増加、官能特性向上など優れた特徴を有する魚醤を作製できることが明らかになった。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Application of pressurized carbon dioxide during salt-reduced sardine fish sauce Production2020

    • 著者名/発表者名
      Seiji Noma, Lisa Koyanagi, Shuhei Kawano and Nobuyuki Hayashi
    • 雑誌名

      Food Science and Technology Research

      巻: 26 ページ: 195-204

    • DOI

      10.3136/fstr.26.195

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 二酸化炭素を用いた食品の微生物制御に関する研究2020

    • 著者名/発表者名
      野間誠司
    • 雑誌名

      日本食品化学工学会誌

      巻: 67 ページ: 85-91

    • DOI

      10.3136/nskkk.67.85

    • 査読あり
  • [学会発表] 減塩イワシ魚醤の作製における加圧二酸化炭素の適用2019

    • 著者名/発表者名
      小栁理紗、野間誠司、林信行
    • 学会等名
      2019年度日本栄養・食糧学会九州・沖縄支部および日本食品科学工学会西日本支部合同大会
  • [学会発表] 二酸化炭素を用いた食品の微生物制御に関する研究2019

    • 著者名/発表者名
      野間誠司
    • 学会等名
      日本食品化学工学会第66回大会
    • 招待講演

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公開日: 2022-12-28  

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