研究課題/領域番号 |
17K00819
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
和田 浩二 琉球大学, 農学部, 教授 (50201257)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 柑橘 / シークヮーサー / 精油 / limonene / γ-terpinene / 抗炎症 |
研究実績の概要 |
沖縄在来柑橘の精油の香りの構成成分の定性・定量分析を行うとともに、構成成分の香りの質と強度を官能的に解析し評価する。さらに、沖縄在来柑橘の精油および構成成分の中で組成や香りの強度の高かった成分について、ヒトによるストレス低減効果や培養細胞系による抗炎症効果を検証し、多次元的な解析を行う。本年度は沖縄在来柑橘であるシークヮーサーの精油およびその主要香気成分の抗炎症効果についての分析を試みた。 シークヮーサーからの精油は水蒸気蒸留法を用いて調製した。調製した精油のGC分析の結果、主要香気成分はlimoneneとγ-terpineneであることを確認し、抗炎症効果の評価には、シークヮーサー精油、limonene、γ-terpineneを試料として用いることとした。マウスミクログリア様細胞BV-2は、RPMI-1640培地を用い、10% fetal bovine serum、penicillin G/ streptomycinを添加し、CO2インキュベーターにてディッシュにより継代培養した。まず、NOおよび炎症性サイトカイン産生抑制への細胞毒性の影響を明らかにするために、MTS法により細胞毒性を評価した。その結果、すべての試料において3.91~500μg/mlの濃度範囲で細胞への毒性はない傾向は示されたが、良好な再現性を得ることができなかった。これは、本評価系が水溶系であるのに対し試料が脂溶性のため、評価系での試料の分散が均一でなかったためと考えられた。そこで、種々の分散剤とそれらの濃度を検討した結果、良好な再現性が得られる評価系を確立できたが、時間的な点から抗炎症効果の検証については次年度に継続して実施することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2018度に抗炎症効果の評価系の予備試験で最適な培養条件を設定できていたが、2019年度において試料である精油および主要香気成分を本評価系の培地へ均一に分散させることができず、再現性に問題が生じたため、細胞毒性試験等を含めた評価系の確立に多大な時間を要した。そのため、研究期間を1年延長して抗炎症効果の検証を行うこととした。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、シークヮーサーの精油および沖縄在来柑橘の精油に共通した主要香気成分の抗炎症効果の検証を行う。すなわち、マウスミクログリア様細胞BV-2細胞は24-well plate に播種し、10% fetal bovine serumを含むRPMI-1640培地で24時間インキュベート後、濃度調整した試料(シークヮーサー精油、imonene、γ-terpinene)を添加した培地に交換して培養し、さらにLipopolysaccharide添加し24時間培養する。その後、培養上清を回収し、抗炎症効果のバイオマーカーとしてNO産生量とIL-1βの産生量をそれぞれGriess法およびELISA キットを用いて測定して解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は対象成分による抗炎症効果の分析には至らなかったため、関連する消耗品等の経費を使用しなかったためと考える。 次年度は消耗品として、バイオマーカー測定キット、培養細胞、成分分析に必要な分析用試薬、ガラス器具等の購入を予定している。また、論文の英文校閲費用、さらに最終年度として研究を仕上げるために実験の補助やデータ解析のための研究員を雇用する予定である。
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