今後の研究の推進方策 |
本研究は加熱加工して利用されるレジスタントスターチ(RS)とドリンク類等に非加熱で利用される難消化性デキストリンなどの水溶性難消化性グルカンに関して、様々なサンプルの機能性を比較検討して各サンプルの機能特性を明らかにするものである。RSに関する研究は、申請時に計画した実験はおおむね2018年度までに終了したが、2018年度に実施した動物実験のデータの詳細については十分な確認と考察ができていないため、学会発表や論文発表に向けてデータの検討を引き続き実施する。論文のためのデータが不足していた場合は必要に応じて追加実験を実施する。また、水溶性難消化性グルカンの実験については、これまでに複数の難消化性グルカンサンプルに加え、フラクトオリゴ糖やポリデキストロースといった水溶性難消化性糖質をサンプルとして動物実験に供し、盲腸での資化性や脂質吸収抑制作用、腸管免疫への影響などを検討してきた。今年度は、本研究で新たな知見が得られた難消化性グルカンサンプルについて、腸管IgA分泌能を中心に作用メカニズムおよび機能成分について検討を行う。また、2018年にCell誌においてフラクトオリゴ糖など大腸内で資化性が高い難消化性糖質の肝臓がん誘発性が報告されたことから(Cell, 175, 679-694, 2018)、RSと水溶性難消化性グルカンの実験結果に関して、ASTやALTといった肝臓毒性の指標を中心に、毒性についても注意して実験データを考察する。
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