研究課題/領域番号 |
17K00823
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
坂本 薫 兵庫県立大学, 環境人間学部, 教授 (20187032)
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研究分担者 |
村松 康司 兵庫県立大学, 工学研究科, 教授 (50343918)
佐藤 春実 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (10288558)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | グラニュ糖 / 砂糖 / スクロース / 融点 / 調理特性 / 調理と加工 |
研究実績の概要 |
グラニュ糖は,結晶性の物質であり純度が99.9%以上と高いが,熔融特性が異なるグラニュ糖がある。自動融点測定装置を用い,昇温速度を変えて多くのグラニュ糖やザラメ糖の融点を詳細に測定してきた。最終年度は,融点に変動がある原因を探ることを主な目的とし,砂糖の旋光度測定および結晶の形状観察,還元糖の測定等を行い,軟X線吸収スペクトル(XANES)については,全電子収量(TEY)法を用いて,CK端とOK端のXANESをBL10/NewSUBARUとBL-6.3.2/ALSで測定した。 グラニュ糖は単斜晶系の結晶であり,長方形の面を持つものや正方形に近い面を持つものがあった。旋光度にも砂糖により若干の差が認められたが,旋光度や形状と融点との関連は特に認められなかった。融点測定において低温域の波形に動きがあるグラニュ糖の還元糖を測定したところ,140℃以下の温度に加熱したものから還元糖が検出され,スクロース分子が熱分解していると考えられた。120-130℃の加熱では還元糖は検出されなかったことから,グラニュ糖には130-140℃の間で部分的に熱分解により熔融するものがあると考えられた。一方,全く還元糖が検出されず,熱分解が起こっていないグラニュ糖もあり,これらは波形の動きも観察されなかった。XANES測定の結果では,グラニュ糖により波形に違いがみられたことから,異なる化学状態の存在が示された。テラヘルツラマン分光スペクトルでは,水素結合の差を示唆する結果が得られた。また,SPring-8 兵庫県ビームライン BL24XUにおいて行った放射光マイクロビームX線回折の結果と融点測定結果との関連を見たところ,低い温度帯から熔融の始まるグラニュ糖では,結晶性が乱れた箇所や配向がわずかに異なる結晶の存在が予想される結果が得られた。
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