研究課題/領域番号 |
17K00827
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
藤井 恵子 日本女子大学, 家政学部, 准教授 (20186480)
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研究分担者 |
海老澤 元宏 独立行政法人国立病院機構(相模原病院臨床研究センター), アレルギー性疾患研究部, 部長 (30338876)
林 典子 湘北短期大学, その他部局等, 准教授 (30775870)
藤井 智幸 東北大学, 農学研究科, 教授 (40228953)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 雑穀 / パフ / ガラス転移 / 組織構造 / アレルギー対応食品 / 物性 |
研究実績の概要 |
【目的】膨化・乾燥食品である雑穀パフの水分収着特性およびレオロジー特性を明らかにすることを目的とし、雑穀パフのガラス転移温度を測定し、吸湿に伴う物性の変化についてガラス転移の観点から検討を加えた。併せて、組織構造の観察を行った。 【方法】雑穀パフの試料として、発芽玄米、大麦、はと麦、アマランサスの4種類の雑穀を選び、0.1~1.1 MPaの圧力で膨化させ、試料を調製した。雑穀パフを、相対湿度6~94 %の8段階に調湿したデシケーターの中で試料の水分収着量がほぼ平衡状態になるまで5~12日間保存した。調湿温度は15、25、35 ℃の3段階とした。示差走査熱量測定装置を用いて雑穀パフのガラス転移温度を測定した。測定温度は-50~100 ℃とし、スキャンスピードは10 ℃/minとした。また、走査型電子顕微鏡を用いてパフの組織構造を観察した。 【結果】25 ℃で調湿した各種雑穀パフのガラス転移温度Tgは-17~80 ℃の範囲となり、平衡含水率が高くなるほどガラス転移温度は低下した。破断特性において脆性破断から延性破断に変化する境界域が含水率約8 %のところであることが示されたが、この条件は室温15~35 ℃の範囲においてはガラス転移線に近いところであることから、ガラスからラバーに転じると脆性破断から延性破断に変化することが示唆された。また、0.9 MPaで膨化させた発芽玄米パフを25 ℃で調湿した際の内部組織構造は、相対湿度6.7 %で調湿した試料はセルを構成する細胞壁が非常に薄いが、相対湿度が高くなるに従い細胞壁が厚くなっていく様子が観察された。 以上の結果から保存条件としては含水率を約8 %以下に保持することが大切で、保存中の湿度によって含水率が変わり、組織構造及び物性が変化してしまうので、保存する温度のみならず湿度の制御が重要であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ当初の予定どおり研究計画を進めることができたが、得られた研究結果のデータ解析と成果を社会に発信するところがまだできていないため。
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今後の研究の推進方策 |
得られた研究結果のデータ解析を進め、成果を学会発表し、学術論文にまとめる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
<次年度使用額が生じた理由> ほぼ当初の予定どおり研究計画を進めることができたが、最終的に得られた研究結果をまとめ、成果を社会に発信するところまで至らなかったため。 <使用計画> 研究成果を学会で発表し、学術論文にまとめるため、学会出張旅費と英文校閲、論文掲載投稿料に使用する予定である。
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