研究課題/領域番号 |
17K00828
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研究機関 | 神奈川工科大学 |
研究代表者 |
高橋 智子 神奈川工科大学, 健康医療科学部, 教授 (10364861)
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研究分担者 |
中川 裕子 (岩崎裕子) 実践女子大学, 生活科学部, 准教授 (60511194)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 気泡混合ゲル / ごぼうペースト / 気泡含有率 / 力学的特性 / 気泡の分散状態 |
研究実績の概要 |
ゲル化剤ネイティブジェランガムを添加した気泡混合ゲルに、繊維が多いことで硬く、高齢者が食べにくい食品である根菜類ごぼう添加した、繊維状食品添加気泡混合ゲルの調製方法の確立を中心に検討した。加えるごぼうは、予め着味し、加熱中着味液の蒸発が無い真空充填加熱調理を施した。ごぼうペーストは冷凍ごぼう(水分88.0%)を使用した。冷凍ごぼうの重量に対し、4.0%のスクロース、1.0%の塩化ナトリウム、蒸留水とともに専用袋に充填し、真空度600mmHgで15秒間脱気を行い真空包装した。真空包装したものを95℃の恒温水槽中60分間、加熱を行った。加熱後、着味液ごと高速ミキサーにて回転速度1,200rpm、撹拌時間10秒間で均一ペースト状まで粉砕したものをごぼうペーストとした。ネイティブ型ジェランガムゾルにごぼうペーストを重量比1:1で混合し、ポンプ式泡ディスペンサーにより亜酸化窒素ガス(食添用)を封入後、型に流し入れ0℃氷水により30分間冷却、10℃恒温器60分間保存し凝固させたものを試料とした。なお、ネイティブ型ジェランガムの濃度はごぼうペースト、ネイティブ型ジェランガムゾル混合全体重量の0.4、0.5、0.6%(w/w)とした。気泡を混合していない基本ゲルも併せて調製した。ごぼうペーストを添加した気泡混合ゲルの調製において、ポンプ式泡ディスペンサーにより亜酸化窒素ガスを封入する際の材料の品温管理が困難であった。調製に用いるネイティブ型ジェランガムゾルは、ごぼうペースト混合後のゲル化剤濃度が0.4、0.5、0.6%(w/w)になるよう調製したため、ごぼうペースト無添加気泡混合ゲルに比べ、ネイティブ型ジェランガムゾルの品温が高い状態でポンプ式泡ディスペンサーに封入する必要は生じた。それに伴い、ごぼうペーストの品温管理も困難なものとなった。調製した試料について、物理的特性の検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、ごぼう添加気泡混合ゲルの調製に多くの時間を費やすしてしまった。ごぼう添加気泡混合ゲル、およびごぼう添加基本ゲルの物理的特性の検討として、密度、気泡含有率、気泡分散状態、ひずみ-応力の関係、簡便法としての広がり係数の測定を行った。しかし、調製したごぼう添加気泡混合ゲルの状態が安定しないため、多くの回数の測定を行うこととなり、安定した調製方法が得られるまで、これらの測定を繰り返し行った。安定した気泡混合ゲルの調製方法が、本年度、後半確立され、物理的特性の検討へと進めた。その結果、ごぼうを添加していない、昨年度報告した気泡混合ゲルとの大きな違いは、気泡含有率において0.4%気泡混合ゲルで13.8±3.3%、0.5%気泡混合ゲルで15.7±5.8%、0.6%気泡混合ゲルで21.5±5.4%となり、ごぼうを添加することで気泡含有率は低値を示すことがわかった。また、ひずみ-応力の関係において、気泡混合ゲルの破断点は、ごぼうを添加することにより明確になり、また、破断応力は大きくなった。しかし、ごぼうを添加しても破断応力は気泡を混合することで小さく、すなわち軟らかくなった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度、ごぼう添加気泡混合ゲルの調製方法の確立に時間を費やしてしまったため、物理的特性の測定までで期間を終了した。その結果、ひとによる(若年者、高齢者)食べやすさの検討が十分に行われていない。そこで、延長年度となった本年度は、主にひとを対象とし検討を行う予定である。本研究で開発したごぼう添加気泡混合ゲルは、口中において、口蓋と舌で咀嚼後、食塊形成を行う嚥下食を目標としている。そこで、食べやすさの検討には、咀嚼時、嚥下時筋電位測定に加え、口蓋と舌による舌圧についても、高齢者、若年者で検討を行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者への分担金として50000円を計上する。主に、打ち合わせのための交通費、コピー代などである。材料、ガラス器具等購入、プリンター用インク購入のための物品費に使用したい。
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