研究課題
米の食味には、様々な要因が関与し、特に、良食味米育種では、アミロース含量とタンパク質含量が選抜指標とされてきた。アミロペクチンについては、重要性が示唆されていたものの高度な技術と機器分析による多額な費用を必要とするために、アミロペクチンに着目した選抜は行われていない。しかし、アミロペクチンはイネ胚乳澱粉の約80%以上を占める主成分であり、その分子構造の差異はアミロース以上に米の食味に影響すると考えられている。育種現場で米澱粉の構造を調べて選抜するのは困難であり、これに変わる簡便な選抜指標の策定が必要とされている。デンプンの構造は品種の遺伝的要素以外に、イネの登熟気温が影響することが明らかになっている。出穂後の気温が高いと、アミロペクチンの側鎖が長くなり、酵素により分解されにくいアミロペクチンSLC(super-long chains)が増加し、米飯物性や糊化特性などに影響を及ぼす。アミロペクチンに存在する超長鎖SLCはアミロースと同様な反応を起こすため、見かけのアミロース含量AAC中にはアミロペクチンSLCが含まれる。本研究では、真のAAC含量およびSLC含量の測定は、多大な労力を必要とする澱粉精製が必要なため、精米によるヨウ素吸収曲線の各値による澱粉によるAAC、SLC値の推定式の開発を行い、未知試料で検定し、これらの値と食味評価(物性値、糊化特性値、官能検査)の関連を検討した。この結果、良好な結果が示された。開発した推定式 [AAC(starch) = 0.168 × λmax(milled rice flour) + 84.522 × Aλmax(milled rice flour)+0.012 ×λmax/Aλmax(milled rice flour)-126.302]
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Foods
巻: 10 ページ: 1-23
10.3390/foods10050987
Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry
巻: 84 ページ: 2347-2359
10.1080/09168451.2020.1794786