研究実績の概要 |
1、試料の調製・物性検査: 前年度は、鮭,鱈,エビ,イカなどの魚介類や、わらび,ぜんまい,ふきなどの山菜を加工し、その中から適する食材を絞っていった。結果、魚介類については、物性及び試食の両方で好評価の得られた鮭,赤エビを平成30年度以降の研究対象とすることに決定していた。一方、山菜については、通年の研究対象とすることが難しいことから、舞茸,しいたけ,エリンギなどのキノコ類及び試作時に好評価の得られたタケノコについて平成30年度以降も検討していくこととしていた。平成30年度は、より物性の安定性を得るために加工条件を若干変更した。すなわち、加工温度については前年度より上げて85℃とし、加工時間については短すぎる、長すぎる条件を省き、30分、1時間、1時間半、2時間として試料を作成し物性を比較した。 2、試料の調製条件の決定: いずれの試料でも85℃1時間の調製条件が、物性・コストパフォーマンスの面ともに良好であった。 鮭,赤エビ,タケノコにおいては、UDF表示区分1~3に該当し軟らかく仕上がった。魚介類は、赤色が綺麗に仕上がったが、パック詰めの段階でアクがいっしょに封入された。タケノコは、えぐみを完全に除去することはできず、また、シュウ酸等の結晶が表面に付着する傾向にあった。これら見た目の改善については、今後の試料調製過程で工夫が必要と思われた。一方、キノコ類は味や旨味が濃縮されるものの、シャキシャキ感が増すため、高齢者向けの調整は難しく断念した。なお、魚介類やタケノコについては、再加熱しても、物性は保たれた。 3、官能検査、生理的検査: 被験者数が少なく定性的な結果しか得られていない。また、咀嚼能力測定にグルコセンサーを使用する予定にしていたが、予備実験の段階で、測定に使用するグミゼリーの弾力性が強いことが判明し、安全性等を考慮し高齢被験者への使用は見合わせた。
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