研究課題/領域番号 |
17K00832
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研究機関 | 京都華頂大学 |
研究代表者 |
豊原 容子 京都華頂大学, 現代家政学部食物栄養学科, 教授 (50241211)
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研究分担者 |
豊原 治彦 京都大学, 農学研究科, 准教授 (90183079)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 海藻 / 発酵食品 |
研究実績の概要 |
海藻は日本古来から用いられてきた身近な食材である。また、さまざまな機能性成分に富む食材であることが明らかとなっており、海藻から抽出したこれらの機能性成分のサプリメントも多々見られる。このように有効な食材であり、また海に囲まれている我が国にとって豊富な食料資源であるにもかかわらず、近年は用いられる種類や頻度が減少しており、日常的な食卓での利用度を上げることが望ましいと考えられる。一方、日本古来から利用されてきた味噌などの発酵食品は乳酸菌を多く含み、その生体内での働きが注目されていることから、海藻を用いた発酵食品を開発し、利用度を高めることを目的として研究を進めてきた。 本年は、まず海藻を用いた伝統的な発酵食品について探索を行った。全国の海藻発酵食品について探索したところ、全国的に、味噌漬けや糠漬けについては存在が確認された。さらに本年の調査において、石川県においてワカメの漬物が存在することを確認することができた。この漬物について、テクスチャーの変化を調べるとともに、乳酸菌を確認したところ、6か月経過した時点でヘテロ型乳酸菌が存在することが確認できた。テクスチャーについてはこの時点で変化は認められなかった。ワカメ以外の海藻についても塩漬けすることによりどのような変化が起こるのか検討中である。 一方、味噌や糠を用いた発酵食品の開発について検討を進めるために、まず味噌床や糠床を作成し、これらの漬け床中の乳酸菌の変化などについて検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
まず、これまでに全国で作られてきた海藻の発酵食品を入手し、当初の予定であった項目を分析を試みようとした。しかしながら、磯焼けなどの海洋の状況変化によりとれる海藻の減少などの理由により、加工される海藻が少なくなっておりそれらの海藻発酵食品が入手できなかった。そこで、生産量の多いワカメなどを用いて伝統的な手法を用い発酵食品の調整を行うことを試みたが、海藻の採取時期が限られているため時間がかかってしまった。
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今後の研究の推進方策 |
乾物などを含め入手可能な海藻によって発酵食品の調整し、これらについてテクスチャーや呈味成分の分析など食品特性についての分析と海藻に含まれている機能性成分の動態についての分析を行う。同時に今回塩漬けにおいてもその存在が明らかとなった乳酸菌の同定などについても分析を行く予定である。各地の漁師などに依頼し伝統的な海藻発酵食品の入手にも務め、分析を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
気象状況や磯焼けなどの現象により、各地の海藻の生産状況が変化している。このため本来各地で伝統的に作られてきた海藻発酵食品であり、分析に供する予定であった発酵食品を入手することができなかった。そこで、これらの海藻を使った伝統食品の消化性やテクスチャーなどの食品特性と機能性成分の分析を行うことができなかったことから、試作品を作ることからのスタートとなってしまったため予定使用金額を下回った。 今後は試作品についての分析とその評価について検討していくため物品費の購入が予定される。
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