研究課題/領域番号 |
17K00834
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研究機関 | 相愛大学 |
研究代表者 |
品川 英朗 相愛大学, 人間発達学部, 教授 (60551067)
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研究分担者 |
太田 美穂 関西医科大学, 医学部, 研究員 (90132935)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 咀嚼・嚥下 / MRI / 生理学 / 栄養学 / 生体医用工学 |
研究実績の概要 |
(1)とろみの評価:①日本摂食・嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類2013(とろみ)に表記されているLST(line spread test)値に基づき、様々なとろみ剤・ゲル化剤を用いて3タイプ(とろみ1、とろみ2、とろみ3)の調合ならびに物性評価を行った。②上述した3タイプのとろみについて、B型粘度計による物性評価も行った。 (2)MRI動画記録法のシークエンス等の調整:①MRI動画を用いて嚥下時の様子を可視化するために、まずシークエンスの調整を行った。具体的には、2つのMRI装置(3T Siemens Verio, Prisma)における動画記録法のシークエンスの違いによる画像撮像および評価を行った。②画像の信号強度(S/N)を上げるために、鉄(Fe)、マンガン(Mn)等を含む飲料水に、前述で使用したとろみ剤・ゲル化剤でとろみをつけて、画像撮像ならびに画像評価を行った。③動画記録のための画像撮像の位置について検討した。具体的には、嚥下時の口腔咽頭領域における流動評価を行うために、MRI動画撮像について、矢状断面および冠状断面の2方向での位置決めを行った。嚥下内視鏡検査(VE)やX線嚥下造影検査(VF)と同様な嚥下時の可視化ができるのかが、本研究の最大のポイントであり、特に冠状断面についての位置決めを中心に実験を行った。冠状断面の撮像においては、喉頭蓋をランドマークとして位置決めの調整を行った。④とろみ剤を経口摂取するためのシリンジ・チューブ、あるいはスポイト・チューブの固定方法について検討した。 (3)MRI動画記録の撮像:①健康成人男性(1名)による3タイプのとろみ調整食における口腔咽頭領域での流動評価の画像撮像を行った。2方向(矢状断および冠状断)での撮像を行い、その違いについて分析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
被験者数を増やして、MRI動画記録の撮像を行う予定だったが、使用するMRI機器(3T Siemens Prisma)が大変混み合っており、当初の予定よりもやや遅れている。今年度中に前年度の遅れを取り戻したいと考えている。MRI動画記録の撮像以外については、計画通り、順調に行われている。
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今後の研究の推進方策 |
①可視化技術の提案:被験者数を増やして、MRI動画記録法による撮像を行い、口腔咽頭領域での様々なとろみ剤・ゲル化剤を使った流動評価を詳細に行う。非侵襲的で被曝の問題もない本技術が嚥下内視鏡検査(VE)やX線嚥下造影検査(VF)と同様な評価法として導入可能かについて検討する。 ②病院・高齢者施設(特養など)における本事業の成果の活用:病院および特養などの高齢者施設に入居中で、摂食嚥下に問題がある患者さんに対して、本事業で行った様々なとろみ剤・ゲル化剤を使った流動評価のデータを提供し、安全で安心に摂食嚥下できるような指導ならびに提案を行う。 ③歯科系・栄養系の学会での発表及び広報活動:日本栄養改善学会、日本栄養・食糧学会、日本摂食嚥下リハビリテーション学会、歯科基礎医学会等で、本事業の研究結果について発表を行い、MRI動画記録法を用いた可視化技術について啓発活動を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:被験者数を増やして、MRI動画記録の撮像を行う予定だったが、使用するMRI機器(3T Siemens Prisma)が大変混み合っており、撮像することができなかった。そのため、MRI撮像リース料や謝金等で当初の予定額と差がでてしまった。 使用計画:①被験者を募り、MRI撮像を行う。②データ分析を行い、学会発表を行う。③論文作成を行い、投稿する。以上の①~③について行うことで、人件費および謝金、旅費、その他(MRI撮像リース料)等の未使用額と翌年度分の助成金を合わせて、研究を遂行する。
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