研究課題/領域番号 |
17K00835
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研究機関 | 畿央大学 |
研究代表者 |
山本 隆 畿央大学, 健康科学部, 教授 (60028793)
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研究分担者 |
上地 加容子 畿央大学, 健康科学部, 教授 (50390208)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | おいしさ / コク / 嗜好行動実験 / 神経応答 / 味細胞 |
研究実績の概要 |
減塩食などおいしさに満足できない食をおいしくすることは、摂食量を増加させ、低栄養を防止するうえで重要である。生体内にあって代謝亢進、解毒作用など 生理機能を高める物質を候補として選び、減塩味噌汁に添加して嗜好性が高まるかどうかを動物の行動実験により調べる。候補物質については、味神経応答の解 析、関与する脳内物質の同定と動態などの神経科学的研究を行う。 「体に良いもの、体が必要とするものはそれ自身がおいしいか、その存在により食べ物がよりおいしくなり、摂取が促進される」という原則を活用し、本研究で は、生体内にあって代謝亢進、解毒作用、抗疲労、抗酸化など生理機能を高める物質の中から、おいしさを増強する物質を探索しつつあるが、オルニチン、グルコサミン、カルノシンなどにおいしさ増強効果のあることが示唆された。 本年度は、マウスに加えてラットも用い、コクを出す物質として知られるγ-Glu-Val-Gly(EVG)やオルニチンのおいしさ増強効果を2ビン法と味神経からの電 気生理学的応答から確認した。またその受容体がカルシウム感受性受容体(CaSR)やGPRC6Aであることもantagonistの作用により確認できた。EVGとオルニチンではその作用機序 に違いがあることも示唆され、今後の研究を更に進展させるべき興味深い知見と考えられた。 以前のマウスでの行動実験ではγEVGの添加効果が明確には示せなかったが、ラットでは、効果があることがわかった。ただし、ヒトでの効果とは異なりMSGへ の添加効果が認められなかったことなどから、種差が存在する可能性がある。また、味細胞にGPRC6Aの受容体が発現するか否かを検討し、マウス、ラットの2型、3型味細胞に発現しそうだということが分かったが、今後さらにこの点の確証に向けて検討したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コクを出し、うま味を増強しおいしくする物質(コク味物質)としてEVGが知られているが、本研究課題で研究を進めているオルニチンもコク味物質であることが種々の実験結果から強く示唆された。また、その味細胞における受容体としてGPRC6Aが明確になりつつあることからも進捗状況が順調であることを示すものである。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、既に報告されているコク味物質であるEVGと今回新規に見出したオルニチンの作用の違いをラット、マウスにより詳細に検討する。また、GPRC6Aがオルニチンの受容体とされているが、味細胞における発現状態は現在不明であるから、どのタイプの味細胞に発現するかを免疫組織化学染色により明らかにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
GPRC6Aの味細胞における発現の実験が未完成で、この研究を継続するため、免疫組織化学研究のための抗体などの薬品を主に購入する予定である。
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