研究課題/領域番号 |
17K00837
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研究機関 | 四国大学 |
研究代表者 |
岡崎 貴世 四国大学, 生活科学部, 教授 (10227738)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ヒスタミン / 食中毒予防 / 増殖阻害 |
研究実績の概要 |
本研究は生鮮魚介類およびその加工品等からヒスタミン生成菌(Hm(+)菌)を分離し、同定および増殖特性を明らかにし、得られたデータをもとにHm(+)菌の制御方法を検討してヒスタミン食中毒予防法を確立することを目的とする。 鮮魚および魚介類加工品からKlebsiella oxytoca、Pseudomonas fluorescens、Ps. putida などのHm(+)菌5株を分離し、それぞれの増殖特性およびヒスタミン生成能を測定した。得られた結果をもとに、分離菌のうち最もヒスタミン生成量が多く、また低温増殖性のKl. oxytoca を用いてHm(+)菌汚染モデル赤身魚(アジ)を調整し、塩素系消毒液(亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウム溶液)によるHm(+)菌の制御方法を検討した。菌汚染モデル赤身魚を10℃設定の消毒液に浸漬すると、24時間後に初期菌数は3桁以上減少し、高い殺菌効果が得られることが分かった。しかし、25℃設定の消毒液では菌数の増加はなく増殖抑制効果は見られたが、殺菌効果は認められなかった。対照として用いたHm(+)標準株のモルガン菌(Morganella morganii subsp. morganii NBRC 3848)に対しても同様の傾向が見られた。しかし消毒液の効果は分離菌より小さく、菌株によって殺菌効果に差があると考えられた。測定に使用した各消毒液は、殺菌効果を評価するため高濃度で用いていたことから、魚肉に消毒液の臭いとタンパク質変性を生じ、消毒方法の検討が今後の課題と考えられた。今後、消毒液濃度、浸漬または噴霧方法などの消毒方法や消毒前処理方法を検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度は、新型コロナウイルス感染対策のため業務多忙となり全体的に研究が遅延した。これまでの研究で得られたデータをもとにHm(+)菌で汚染した赤身魚(菌汚染モデル魚)を用いて測定を行なったが、当初予定していた測定(低濃度消毒液使用によるHm(+)菌汚染モデル魚の消毒方法等の検討)まで進めることができず、研究が遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、引き続きHm(+)菌汚染モデル赤身魚を用いてヒスタミン食中毒制御のための応用的な測定を行う。これまでに得られたデータをもとに、菌汚染モデル赤身魚を用いて、塩素系消毒剤による効果的な殺菌方法を検討する。処理検体(菌汚染モデル赤身魚)の前処理方法、消毒剤の浸漬・噴霧や魚介類の種類による効果の違い、および処理後の消毒剤の残留濃度や臭いについて測定する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は当初予定していた測定(Hm(+)菌を接種した菌汚染モデル赤身魚の魚肉上の細菌の制御方法等の検討)が完了しなかったため、研究費に差額が生じた。 最終年度である2021年度は、2020年度に予定していた測定と、各塩素系消毒剤の作用によりヒスタミン生成に対してどのような抑制効果が得られるかを測定する。ヒスタミン食中毒予防に効果的な消毒剤の使用方法を検討するため、消耗品の購入を予定している。
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