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2017 年度 実施状況報告書

ナノサイズの自己凝集体形成による食品中の色素の安定化

研究課題

研究課題/領域番号 17K00840
研究機関西九州大学

研究代表者

安田 みどり  西九州大学, 健康栄養学部, 教授 (20279368)

研究分担者 田端 正明  佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 客員研究員 (40039285)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードクロロフィル / カロテノイド / 光退色 / 自己凝集体 / パプリカ
研究実績の概要

カロテノイドは、熱に対しては比較的安定であるが、光により退色することが知られている。これは、食品の品質低下を招くことから、食品業界では大きな問題となっている。本研究では、カロテノイドを多く含んだ野菜の一つであるパプリカを用いて、その熱水抽出溶液の光安定性を調べることを目的とした。さらに、カロテノイド自身の光退色作用を詳しく調べるために、エタノール-水系におけるカロテノイド溶液にUV照射を行い、それらの退色作用について検討を行った。なお、今回用いたカロテノイドは、パプリカに含まれるキサントフィル類のカプサンチン、ゼアキサンチン、ルテイン、β-クリプトキサンチン、カロテン類のα-カロテン、β-カロテンであった。
パプリカ熱水抽出液にUV照射を行った結果、時間ごとに退色して1~2日後にほぼ無色になった。カロテノイドのエタノール-水溶液(エタノール濃度:60、70、80、90、100%, v/v)について同様の実験を行った結果、70-90%エタノール溶液の場合が最も退色が遅いことがわかった。クロロフィルを用いた場合は、エタノール濃度が低い(10-20%)場合に小さな自己凝集体を形成し、光のダメージを防いでいることが明らかになっている。カロテノイドの場合は、エタノール濃度が高い場合に退色を防いだことから、今後、溶解度や凝集体の形成などさらに詳しく調べる必要があると思われる。また、ヒドロキシル基を持つキサントフィル類の色素が炭化水素類であるα-カロテンやβ-カロテンよりも光に対する減少速度が遅いことがわかった。この理由として、キサントフィル類は、ヒドロキシル基を有するためにカロテン類よりも抗酸化性が強く、光照射に対して酸化分解反応が受けにくくなるためではないかと考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

パプリカに含まれるカロテノイド系の色素に注目し、それらの光安定性について調べた。カロテノイド系色素については、ルテインとゼアキサンチンなど異性体同士のものもあり、分離が困難であったが、HPLC条件を検討して分析を可能にした。光退色試験についても、カロテノイド色素について予定通り行うことができ、クロロフィルとの比較もできた。

今後の研究の推進方策

来年度は、次の2点について研究を行う。
1.カロテノイド系色素の光退色のメカニズムの解明
カロテノイド系色素の光退色がなぜ起こるのかについて、溶存状態や凝集体の観点から調べる。しかし、カロテノイドは、クロロフィルに比べて溶解度が低いことがわかっていることから、溶媒の検討も十分に行う。
2.クロロフィルの光増感反応によるカロテノイドの変化
クロロフィルは、光により光増感反応を示すことが知られている。カロテノイド溶液にクロロフィルを添加することによるカロテノイドの色の変化を調べる。逆に、クロロフィルの色の変化(凝集体の変化)についても調べる。さらに、カロテノイドとクロロフィルとの相互作用について検討する。

次年度使用額が生じた理由

カロテノイドの分析に必要なHPLCカラムが、既存のカラムで対応できたため。
平成29年度未使用額は、平成30年度の請求額と合わせて、カロテノイド試薬等の購入のために使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] クロロフィルの光退色に及ぼす凝集体形成の影響2018

    • 著者名/発表者名
      安田みどり、田端正明
    • 学会等名
      日本農芸化学会2018年大会

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公開日: 2021-01-27  

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