研究実績の概要 |
令和元年度には,呈味物質を含むゾル~ゲルの粘性ポリマー溶液に,油脂を添加したとき,呈味強度に及ぼす油脂添加の影響を調べた。 [キサンタンガム濃度0.8%:ゾル]または[キサンタンガム濃度0.4%+ローカストビーンガム濃度0.4%:ゲル],塩化ナトリウム濃度1.0%,油脂濃度0.0,2.0,4.0,8.0%の計8種類の粘性ポリマー溶液を調製し,リファレンス溶液として塩化ナトリウム濃度1.0%溶液を準備した。官能評価の手法によって,塩味強度の評価を行うとともに,試料について,RE2-33005C Rheometerを用いShort Back Extrusion法によってみかけ粘度を測定した。官能評価データは,一元配置分散分析後,Tukeyの多重比較を行った。パネリストはS大学に在籍する健康な男女学生32~40名である。 塩化ナトリウムを含む粘性ポリマー溶液[ゾル]に,油脂を添加した試料3種類は,いずれも「油脂を添加していない基準試料」に比べ,有意に塩味を強く感じた(p<0.001)。 塩化ナトリウムを含む粘性ポリマー溶液[ゲル]に,油脂を添加した試料3種類のうち,「油脂を添加していない基準試料」に比べ,2種類が有意に塩味を強く感じた(p<0.05)。また,ゾル試料について,ずり速度15.0[1/s]における“みかけ粘度”μa[Pa・s]は,油脂無添加試料,油脂添加3試料,それぞれ,1.335, 1.609, 1.686, 1.869が得られ,油脂量の増加にともない,粘度上昇がみられた。ゲル試料について,ずり速度15.0[1/s]における“みかけ粘度”μa[Pa・s]は,油脂無添加試料,油脂添加3試料,それぞれ,2.523, 2.449, 3.564, 3.883が得られ,油脂量の増加にともない,粘度上昇がみられた。粘性ポリマー溶液[ゾル]では,油脂量が増えるほど,塩味をかなり強く感じたが,粘性ポリマー溶液[ゲル]では,それほど強くは感じなかった。塩味強度および油脂添加量に,みかけ粘度が対応していた。
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