研究実績の概要 |
2020年度には,2017年度および2018年度に実施した実験データの総括を行って,論文として執筆し,2つのジャーナルに,掲載・公開された。タイトル,ジャーナル,公開日は,それぞれ,次のとおりであった。Enhancement of salty taste by the addition of oils based on a “time-intensity” analysis, International Journal of Gastronomy and Food Science,2020年10月 である。要旨を次に掲げた。粘性ポリマー溶液について,油脂添加量が増すとともに粘度が上昇し,呈味強度が減少するのではないかという仮説を提示し,time-intensity (TI) 手法とshort back extrusion (SBE) 法を用いて検証した。本研究では,キサンタンガムを増粘剤とした油脂添加の塩味試料を用いて実験を行った。この塩味試料では,油脂量の増加にともない,粘度および塩味強度の上昇がみられた。さらに,塩味強度とみかけ粘度の間に正の強い相関がみられることを確認した。提示した仮説に反する結果が得られた。 もう1報のタイトル,ジャーナル,公開日については,それぞれ,次のとおりであった。Effects of added oils on the sensory evaluation of saltiness and sweetness,Journal of Association of Food Science Education in Japan,2021年3月である。要旨を次に示した。増粘剤としてキサンタンガムを用いて,油脂を添加した塩・甘味試料を調製し,塩味と甘味が油脂の添加によって,どのように感じ方が変わるのか官能評価 (評点法) の手法により調べた。試料の粘度をTV-22形粘度計によって測定した。塩化ナトリウム,塩化カリウム,スクロースに,油脂を添加した試料計27種類は,「油脂を添加していない9つの基準試料」に比べ,いずれも,塩味や甘味を強く感じた (p <0.05)。また,これらの試料では,油脂の添加量が増すとともに,粘度および塩味・甘味強度の上昇が認められた。
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